2003年11月10日どちらも負けた!

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勝ったのはだれだ?

 選挙投票日の間隙を縫って、「赤目四十八瀧心中未遂」という映画を見ました。寺島しのぶさんが体当たりの演技とかで話題になってますが、どうして、封切館が二つしかないのよ。

 しかも東中野と横浜の黄金町なんて、マイナーなとこなわけ?

 黄金町の日劇で見たんだけど、ここなんか、そこら中にコロンビア人と中国人の立ちんぼが跋扈するディープな地域ですよ。

 夜の回だったけど、客はわずか十人(一人で見ていた女性が三人もいたのにはびっくりしました)。三百人は入る箱にこんだけ。「踊る大捜査線」とはかなりチャイますな。そのかわり、横になって悠々と鑑賞できましたよ。

 いい映画でした。けど、原作のほうがベターですな。でも、これはしょうがない。日本映画で原作より映画のほうが良かったのは、「砂の器」しかありません。やはり、想像の世界と創造の世界とでは、想像の世界のほうが強いんです。



 さて、総選挙が終わりました。

 一言で言えば、国民はやはり懸命な選択をしたと言えます。すなわち、自民党には単独過半数を許さず、民主党には逆転させず、すべての党に投票率低下というひじ鉄砲を食らわせるなど、今後よりいっそうの精進を迫る効果を果たしたと思います。



 どの新聞もヘッドラインは「与党 安定多数確保! 民主大躍進!」というフレーズで一致しています。

 しかし、今回の選挙で勝ったのはただ一つ、公明党であり、その支持母体である創価学会だけでしょう。安定多数確保の小泉自民党も、大躍進の新生民主党も、いずれも負けました。

 なぜか?

 小泉さんは選挙で大幅に議席を伸ばし、単独過半数を取れると踏んで選挙をしたのです。それが開けてみれば、森派は増えた、抵抗勢力は討ち死にしてくれたと、個人的には嬉しいけれども、総理総裁としては選挙前より十議席も減らすことになってしまった。盟友の加藤紘一さんが返り咲いたものの、同じく盟友の山タフさんが落選してしまいました。

 保守新党を吸収したとしても、今回の結果はボディブローのように効いてきますよ。

 「案外、政局がお好きな方」と野中さんが指摘したように、小泉さんという人、かなりの策士です。

 自由党、民主党合併日にニュース性のある藤井総裁解任の話題をぶつけて潰し、菅直人党首に鳩山邦夫さんをぶつけて嫌がらせをするなど、フレッシュさを振りまいている割には本質的にはかなり「えげつない」ようですね。「真剣勝負です」というわりには、鳩山(弟)さんも「比例名簿二位」というセイフティネットでちゃっかり議席を確保して安全地帯で戦争してるんですから、やはり、おぼっちゃまですな。

 ところで自民党当選議員のうち、公明党、創価学会のおかげで逃げ切った人がいったいどれくらいいたでしょうか?

 首都圏はもちろん、地方の都市部でも自民党は脆弱化が露呈し、おそらく独力で勝てるのは過疎地域のみということになるのでは?

 それだけに、今後、選挙協力はますます重要になってきます。となると、ますます自民党は公明党に飲み込まれていくと判断せざるをえませんね。




選挙の盛り上げが民主党の課題

 国民は二大政党制にもマニュフェストなどにも関心はないはずです。ずばり言えば、ほかにタマ(選択肢)がないから、「どちらにしようかな」で投票しただけでしょう。それだけに、今後、よりいっそうイメージ選挙になるはずです。無党派が当落を決めるという時代は、それも仕方ありません。

 小泉さんの賞味期限はとうに切れ、安倍さんも来年夏の参院選まではもたないでしょう。今度はだれをタレントにしてイメージ選挙を展開するのか。もう人間ではなく、実績をゼ全面に出す選挙を展開してもらいたいものです。

 ところで、民主党の敵は自民党でもなければ、公明党でもなく、唯一、投票率です。つまり、選挙を盛り上げること自体を政策課題とする必要すらあるのです。今回、あと5ポイント投票率が高まれば、与野党逆転は現実のものとなっていたはずです。

 なぜなら、投票率が上がれば自民党に協力した創価学会の票が相対的に減ります。もちろん、公明党自身の票も相対的に減ります。ということは、自民党と公明党という与党議員の当選を同時に阻止することができたのです。

 小沢さんは今回の選挙を与野党逆転への一里塚だ、などとまったく考えていなかったはずです。自民党と公明党との選挙協力のパワーを自ら仕掛けてきただけに、その効果については熟知していたはずです。この勝利の方程式を民主党に当てはめただけです。そして、今回、一発で逆転できると踏んだはずです。投票率が伸びなかったのは、彼の誤算です。

 今後、彼が水面下でどんな対策を練ってくるのか。風だけに頼るサーファー議員ばかりの民主党に、中小企業のオーナー型議員の自民党議員のノウハウを移植するように指南するでしょう。同時に、オセロゲームのようにごっそり裏返すような方法を考えているかもしれませんよ。

 これこそサプライズです。