2005年05月16日「運が悪くてよかった!」「美人へのレッスン」「ヒロシです。?」

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」


1 「運が悪くてよかった!」
 たかの友梨著 IN通信社 1890円

 フジテレビで美容整形番組やってましたね。
 「ビューティコロシアム」ってやつ。「美」に劣等感をもってる女性の駆け込み寺みたいな番組ですよ。
 子どもの頃からブス、ブスって呼ばれて、人前に出るのが嫌だとか。
 そんな女性が整形したとたんに、パッと輝き出すわけ。

 著者はこの番組に出て、数々の女性をきれいにしてきた人。

 けど、一人だけ「あなたはお引き受けできません」と断ったケースがあります。
 「うちのスタッフはあなたくらいの年頃だけど、汗水流して働いてますよ」と怒ったわけ。
 著者はなんでも一所懸命。全力でいつも生きてきた。だから、こういう自分ではなにもやらずに、だれかに依存するタイプって許せないんだろうね。

 それは22歳のある女性。結婚してるんだけど、デブで、ブスで・・・。旦那さんからも罵倒される始末。
 けど、痩せようとしない。子どもの頃から負け犬根性で、「努力」という言葉とは無縁で生きてきた。望みはするが、自分で勝ち取ろうとはしない。旦那さんもこんな性格に嫌気がさしていたわけ。

 で、著者はどうしたか?
 「うちの店で働きなさい」
 最初は逃げ出したりしてたけど、働くうちにどんどん変わっていきます。生きるマインドが大きく変わってきた。
 「あなた、うちのエステやってみなさい。きれいにしてあげる」
 どんどん変わってきます。汗水垂らして仕事してたからスマートになっちゃった。笑顔も魅力的。輝いてきたわけよ。
 ここから、番組もエステサロンもブレイクします。

 全国118のサロン、1300人の従業員、年商220億円。
 これがエステ一筋26年。「たかの友梨ビューティクリニック」を率いる著者が女手一つで築き上げた成果。
 いや、たいしたもんです。
 
 この人の人生、まるでおしんだね。医師と看護婦との不倫の末に生まれ、子どものいない夫婦にもらわれていった。「生みの母より育ての母」というけれど、この義理の母が偉かった。
 とくに、その祖母の影響をそうとう受けているみたい。子どもの頃から朝から晩までめちゃくちゃ働いている。それに対してきちんと給金をくれた。とっても勉強ができたのに、高校進学を止めさせた。
 「女も男を頼りにしてたらダメ。手に職をつけなさい」
 そのひと言で理容師の道に進みます。理容店は定時制高校に通わせてもらえる、というのが条件で探しました。周囲の嫌がらせもなんのその。一日も休まず通います。
 もちろん、入学から卒業までずっと一番。生徒の代表として卒業の挨拶したりしてね。

 どんな状況であれ、出てくる人は出てくるものですね。この理容師の世界で地元群馬ではコンテスト入賞の常連になっちゃいます。
 「もうここにいる必要はない」
 もっと勉強したい、もっと腕を磨きたいという成長意欲が人一倍強いからね。お礼奉公をすると、さっさと上京しちゃうわけ。
 ところが、ここで痛感します。
 「コンテストも全国レベルになると、女性の入賞はほとんどない」
 それに折からのビートルズ・ブームからグループサウンズ・ブームを見てピンと閃く。
 「これからは男性も長髪になる。おばあちゃんは理容師は食いっぱぐれがないって言ってたけど、どうもそうじゃなさそうだ」
 で、どうしたか? 美容師の世界に転身するわけよ。

 だけど、日本の美容というと化粧もいい加減。肌の勉強のために外資系化粧品会社の美容部員になっちゃう。そこでただでノウハウを勉強しようとするわけ。
 ここらへんがものすごい目的意識と実現欲。頭が下がります。

 昼間も美容の仕事をし、夜はまかない食付きのバイトをしてまでして貯めたお金も、フランスでエステの勉強をするためにあっさり全額投資しちゃいます。「これ!」と思ったら、もう身体が動いちゃうタイプなのね。
 これがエステとの本格的な出会い。この人、これを皮切りに全世界のありとあらゆるエステをマスターしていきます。とにかく、エステに関しては知識、スキルも第一人者でいないと気が済まないのよ。

 さて、ノウハウを仕入れてから、日本でいよいよ店をオープン。
 記念すべき第一号店は、なんと大久保。
 もちろん、お客さんは来ない。ぜんぜん来ない。で、どうしたか。
 女は「タダ」という言葉に弱い。そこで「無料で美肌にします」という広告を打っちゃう。
 すると翌日から長蛇の列。
 たとえ無料でも人がいないよりまし。枯れ木もなんとかって言うでしょ。

 順調に育ってきたエステサロンもバブル崩壊がありました。二十一世紀になるや、「エステ・デ・ミロード」という大手が倒産します。
 これで一気にお客が引いてしまいました。
 この時の決断はみごとですね。
 普通、エステ業界は回数券を発行してるケースがほとんどです。そうすれば、前金でとれますからね。けど、業界が信用不安になっちゃった。
 お客は不安でしょうがない。この回数券もパーになるかもしれない、と考えるのが自然です。

 「回数券はいつでも引き取らせて頂きます」
 この時、原資があるかといえば、なかった。銀行なんてドライだから、預金を引き上げようとしたほど。
 そこでメインバンクも変えちゃうわけ。
 その後、倒産したミロードのお客さんも引き取って、さらに大きくなっていきます。

 「幸か不幸か、男運が悪かった。家族運もなかった。幼い頃から何度、悔し涙を流したか。でも、そのかわりに、素晴らしい仕事を神様は与えてくれた」
 250円高。購入はこちら


2 「美人へのレッスン」
 斎藤薫著 講談社 640円

 著者は元々、女性雑誌の編集者。そこから、美容関係のエッセイストになるわけ。
 この世界、オバカさんが少なくないんだけど、この人の文章はいいなぁ。よく考えてるなぁ。
 美容エッセイ界の内舘牧子さんみたい。

 銀座の超高級クラブに社会見学に行った時のこと。
 ママと呼ばれる人が自分の席に座った時、
 「本当に呼吸困難に陥った。三十代後半か、もっと上。けど、だいたい年上に見えるから、もっと下か。世の中にはきれいな人がいるもんだ」
 そのとたん、気づいてしまう。
 過去二十年間、息を呑む美人を10人ほど見てきたが、そのほとんどがクラブのホステスだったかもしれないってこと。
 自分を飾るプロだからね、彼女たちは。

 いまのホステスはそんなことないと思いますよ。OLと兼務ってケースが多いから。そんなにお金はかけてない。
 薄化粧、素肌美人がベストなんだげと、そうすると、やっさはりスッチーになるかもね。

 名前は書いてないけど、スタイル抜群のタレントがいたらしい。この女、黙ってればキレイで聡明なんだけど、とかく、自分の意見を言いたがるタイプ。しかも、論理的に話したがるから始末に悪い。
 視聴者が引いちゃうわけ。
 聡明で売るか、キレイで売るか。どちらにすべきか、方針が定まっていなかった。あるいは、本人の自己主張が強すぎたのかもしれない。
 で、どうなったか。
 消えちゃったわけ。
 キレイなのに、ペラペラ論理的にしゃべる。それでもいいけど、キレイなのにおしゃべりだと、キレイさが抜けてしまうのね。
 「あの人、キレイだけどしゃべりも巧いね」と言われるには、たまに気のきいたことを話すから輝くのであって、しょっちゅうしゃべってると安売りになるわけよ。
 これ、この前、選挙で当選したあの元モデルのタレントじゃないかなぁ。
 150円高。購入はこちら



3 「ヒロシです。?」
 ヒロシ著 扶桑社 1260円

 またまた買っちゃった。これ、やりたくて・・・。

♪ヒロシです。
 同窓会の連絡のハガキが届きました。
 もう日にちは過ぎているとです。♪

♪タカシです。
 同窓会の連絡ハガキ?
 一度ももらったことがありません。
 みんな、楽しくやってるそうです。♪

♪ヒロシです。
 鶏肉と豚肉の違いを理解できたのは
 中学の時でした。♪

♪タカシです。
 中学の時、弁当のおかずは「シャケ」だからね。
 母親からいっつもそう言われていました。
 けど、それが本当は「マス」だったことを
 つい最近になってから知ったとです。♪

♪ヒロシです。
 部屋のどこかでコオロギが鳴いています。♪

♪タカシです。
 「先生の仕事場、カエル飼ってるんですね」
 「カエル? そんなのいないよ」
 「でも、ほら?」
 「ゲロゲーロ、ゲロゲーロ」
 電波に反応してラジコンが勝手に動いてるとです。
 球児、好児じゃあるまいし・・・。♪

♪ヒロシです。
 ハンドソープで顔を洗います。♪

♪タカシです。
 大学時代、トイレの塩素入りソープで顔を洗ってました。
 あの緑色のヤツです。
 これでないと、脂が取れんとです。♪

♪ヒロシです。
 身内の評判が悪いとです。♪

♪タカシです。
 身内の評判が最悪です。
 キリストも故郷では受け容れられなかった
 と聖書で嘆いてるのを読んで
 ホッとしたとです。♪

♪ヒロシです。
 甘いガムなら飲み込みます。♪

♪タカシです。
 ガムは飲み込んじゃいけなかったとですか?♪

♪ヒロシです。
 モテるかと思って、
 「俺がパペットマペットだ」と
 言い張っていたことがあるとです。♪

♪タカシです。
 モテるかと思って、
 「俺が鉄拳だ」と
 まだ言い張っています。♪

♪ヒロシです。
 穴子をうなぎだと言われれば信じます。♪

♪タカシです。
 うなぎは食べられますが、穴子は食べられません。♪

♪ヒロシです。
 『ヒロシです。』が発売された次の日に
 ブックオフで見かけてしまいました。♪

♪タカシです。
 まだ発売前のはずなのに
 自分の本をブックオフで見かけたことがあります。
 犯人は・・・です。♪
 200円高。購入はこちら