2003年01月27日問うに落ちずに、語るに落つ

カテゴリー価値ある情報」

優先順位って何だろう?


 いやぁ、やっちゃいましたね。

 小泉さん。攻めにはめっぽう強い菅さんの質問に乗って、得意の開き直りと断言口調で「この程度の約束、たいしたことではない」なんて。

 物事には優先順位というものがあります。最重要なもの、比較的重要なもの、まったくどうでもいいこと。仕事も人生も「時間」という枠の中でどだけパフォーマンスの高い、すなわち、密度の濃い使い方ができるかどうか。これが決めてなんですね。

 ですから、優先順位というのはいったん決まったら、カチッと固定してしまうものではありません。

 次から次へと降って湧いてくる重要事項を見ながら、順次、入れ替えていく作業をしなければなりません。

 でも、でもですね。これはダメですよ、この答弁では。


思わず失言

 「3つの公約のうち、1つでも守れたものがありますか?」

 3つの公約とは、「靖国参拝問題」「国債発行額の30兆円以下への抑制」「ペイオフの予定通りの解禁」です。

 「たしかにその通りにやっていないということであれば、約束は守られていない。しかし、首相はもっと大きなことを考えないといけない」

 たしかに、小泉さんの言う通りです。首相は「もっと大きいこと」を考える仕事です。

 「現実を見ろよ。こんなに不景気なのに、できるわけないだろ。30兆円枠だって、こんなの守ってたら、日本経済は死ぬよ」と発言したかったんでしょう。

 けど、公約以上に「大きなこと」ってあるんですかね?

 北朝鮮の核開発問題、拉致問題、イラク攻撃、イージス艦の派遣決定など、たくさんの問題が出てきました。しかし、これらは重要ではありますが、緊急的な仕事で、四つに組んでじっくり取り組むべきテーマ。それが公約でしょう。これが本流なんです。

 なし崩し的に公約が実現できない状況に迫られ、思わず、反論しようとして失言してしまったんでしょうね。

 政策転換とは、口が裂けても言えない。そこを突いた菅さんの作戦勝ちかな。