2003年01月20日「コントラスト効果」が命取りになるかも

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賞味期限が切れた


 どんなものにも長所・短所、メリット・デメリット、そして功罪があります。すべてがすべてダメなんだ、ということはありませんね。

 それをどう使うかどうか、それは本人のスタンスの問題だからです。

 小泉さんでなければできないこと、できなかったこと。これもたくさんあったでしょう。

 たとえば、北朝鮮をめぐる一連の問題。アメリカのトップがブッシュに換わり、北朝鮮の経済悪化がてつもなく激しかった、という巡り合わせはありました。また、死亡8人という発表を受けても共同宣言をしたという問題も非難されました。

 でも、いままでの権力者ならどうだったでしょうか。

 野党も含めて、利権が絡んで、こうもストレートに政府としての方向性が決まったでしょうか。なにしろ、拉致問題議員連盟の中にも、拉致被害者家族の味方なのか、それとも北朝鮮のロビイストなのかわからないセンセ方が紛れ込んでいるんですよ。

 小泉さんとしては、まず、味方を騙す。この内閣は発足当初から敵は野党ではありませんでした。道路公団、特殊法人、北朝鮮、そして経済運営など、問題は山積みですが、この内閣だけは退陣後、数年経たなければ真の評価はできないのではないか、と思うのです。

 ただ一つ言えることは、国民はもう待てない、待たないということでしょう。もう賞味期限は切れました。残っているのは、消費期限だけなのです。



内閣のコントラスト効果

 心理学の実験で次のようなケースが報告されてます。

 まず、四種類のグループを作る。

 第一のグループは終始一貫して誉めちぎる。

 第二のグループは、これとは逆に否定的な言葉だけを浴びせるようにする。

 第三のグループは、最初に誉め、次第に非難するようにする。

 そして、第四のグループは最初は否定的な評価を与えるものの、最後の最後には称賛するようにする。

 まったく事情を知らない人は、どのグループに好意を持つか?

 正解は第四グループです。ほとんどの人がこのグループをあげます。心理学では、これを「コントラスト効果」というんです。

 あなたにも経験があるはずです。たとえば、手を熱い湯の中に入れておく。次に普通の水に入れると、これがとても冷たく感じることがあるでしょ。

 人は最初から認められるより、はじめは叱られたり、否定されたりするというマイナス評価でも、後になって誉められたり、尊敬、信頼といったプラス評価を得られれば、それまでの嫌なことがすっかりいい想い出に変わってしまうんです。

 反対にもっともダメなグループは、第3グループでした。最初は人気取りに固執する。けど、次第に非難へと変節するタイプ。どんなに理があろうが、変節漢、狡猾漢と映るわけです。

 「あの野郎、最初のうちだけ乗せといて、最後に本性をあらわしやがった」

 こうなると信頼関係は総崩れ。

 小泉さんもこれに限りなく近づいてる感じです。けど、ほかにスペアがいない。わたしたちの悲劇は、いままで人気取り政治家ばかり育ててきたということです。人望のある政治家を育ててこなかった。だから、国民は我慢ができないのではないでしょうか。