2005年03月21日「強く生きる言葉」「六輔、その世界史」「青葉台駅チャリンコ2分」
1 「強く生きる言葉」
高橋がなり著 メディアファクトリー 1200円
AV制作会社ソフト・オン・デマンドの名物社長の本です。
毎度、痛快でおもしろいね、この人は。
「自分を反面教師にする」っていいね。大学受験に失敗する。で、明日からはちゃんとしよう、明日からは勉強しよう、明日からは性根を入れ替えよう・・・っていつも思うんだけれど、てんでできない。
いいですね、これ。
わたしによく似てます。だから、ホッとします。
で、この人の違いは社会人になってから、ちゃんとやっちゃうこと。自分を反面教師にしてね。
これ、なかなかできないです。
社会人と学生って違います。学生の時、輝いてる人。社会に出てから輝く人。
ねっ、いるでしょ?
「頭、いいのに、どうしてこんなに使えないの?」って人。これね、社会人としては向いてないのよ。ずれてるの。ズバリ言うと、地頭が良くないのね。
地頭って、何?
地頭ってのは、労働でも、コミュニケーションでも、情報でも、なんでもお金に両替できる技術のことなのね。
お金に両替できる人が甲斐性がある人ってことでしょ。当然、学歴は関係ありません。
この人も佐川急便に入ってガンガン働いた。次にテリー伊藤さんのとこでガンガン働いた。
当時のテリーさんのとこには一流のテレビ会社から社員が出向してたらしいよ。そんな連中の中でも頑張った。
「おい、今度から佐川急便出身者を雇え」とテリーさんがよく言ってたって。
自分を反面教師にするってことは、いままでの失敗体験をすべて裏返すということですね。
失敗してね、どん底を知ると、自分の立ち位置がわかるんです。
「あっ、まだどん底まで墜ちてない」ってね。
負け犬ってのは、選択肢がない世界に生きてるってことなのね。豊かさってのは、選択肢がたくさんあるってことでしょ。
自由ってのは、選択肢がたくさんあって、好きなものを選べるパワーのことでしょ? 選択肢がないっつてことは、不自由なのよ。
「お金が欲しい」
「セレブになりたい」
「身体を貢いでも欲望は叶えたい」
そんな人もいるかもしれませんね。でも、こういう人って、不自由なのね。お金とか欲望に雁字搦めなのよ。
見てご覧。卑しい顔してるから。
150円高。
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2 「六輔、その世界史」
永六輔著 日本文芸社 880円
永さん、好きですね。
なんていうか・・・。トリビアの宝庫でしょ。
この本は講演録なんです。
で、どんな講演かというと、テーマは「学校ごっこ」。1時間目は歴史講座、2時間目は宗教講座、3時間目は医療講座、4時間目は職人講座、5時間目は世相講座、6時間目は教育講座ってな具合。
これ、講座は高座のほうが良かったかもね。
「松下村塾は違うんです。近所の子だけで、後に明治政府を作っちゃうんです」
「江戸時代、川は当時の高速道路」
「オリンピックをみてるとわかります。あれはゾロアスター教の名残なんです。つまり、火を崇める宗教なわけ」
「治る病気は病気とは言いません。治らない病気が病気なんです」
「医者と患者はは考えるな。コーチと選手だ」・・・これ、名言です。
「われわれは子どもの頃から忘れっぽいのね。年のせいにするな」・・・たしかに。わたし、小学生の時、忘れ物検査でいつもいちばんだったもの。
「近頃の病院は診察はしないけど、検査はします。あそこは検査院です」
「千円札ってミツマタ、コウゾで作ってるんです。だから丈夫。とっても丈夫。洗濯しても破けない、日本のお札は。これがリラとかドルとかフランとか、とくにイタリアのお金はすぐに破けちゃう。円が強いわけですよ」
「女は力を出し切りますから、なんだって持てる。男が持てるもので、女が持てないものはありません。ただね、女は力を出し切るから、怪我をした時に大けがをする。男は力を溜める。つまり、100の力を出さず85くらい。全部出さない。女は出し切っちゃうから、男より思いものを持てるけど、怪我が大きい」
おもしろかったのは、田中正造のところ。
実は昨日、今日と鹿児島、熊本に行ってたんです。神山征二郎さんという映画監督とご一緒でした。
今度、映画を撮るからね。
鹿児島、熊本でも「草の乱」という秩父事件をモチーフにした映画を前日に上映したんですよ。
これ、田中正造が当時、古河市兵衛の足尾鉱山が垂れ流した鉱毒汚染、公害で周辺の人はどんどん死んでいく。で、この悲惨な状態、農民の窮状を明治天皇に直訴するわけ。
だけど、つかまっちゃう。首謀者は死刑ね。
ここまでが映画の内容。
ここから先が永さんの本。
この時、田中正造と一緒に戦った人たちは北海道に逃げます。足尾の土地はもうダメだからね。
移住してなにをやったか。
北海道農業共同組合を作るんです。安全な食べ物を安く供給しようって運動を展開するわけ。
当時としては画期的な運動ですね。
れはやがて名前を変えます。
それが「雪印」。このブランドで牛乳を出します。全国の農業者はこの崇高な理念とビジネスモデルに憧れて、学び出すんです。
これが雪印ね。
創業の理念はどこも立派ですね。けど、初心、初志、創業の理念を持ち続けるっつてのは至難の業ですね。
スキルはいくらでも伝承可能ですけど、目に見えないものは伝承することは難しいです。
三流会社というのは、100パーセント、伝統がありません。100パーセント、哲学とか理念なんてありません。
これは経営者に理念とか哲学といった崇高なものがないのね。
「儲けるにはどうすればいいか?」
そんなことばかりが巧み。だから、中身はスカスカ。こういう会社は100パーセント、社員もスカスカ。
小さな会社、中小企業でも、経営者が人物の会社は社員も一本、筋が通ってます。
ホント、経営者がすべて決まるんだよね。
250円高。
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3 「青葉台駅チャリンコ2分」
鈴木カオリ著 小学館 1470円
これ、小説だと思って読んでました。読み終わって、著者の略歴見てびっくり。
ノンフィクションじゃないかよぉ。それとも、ファクションてやつ?
主人公は18歳の時から飲んだくれの女子大生。
ある時、バイトで溜めた10万円でロードスターを買っちゃう。これ、競技用の自転車ね。あのサドルがめちゃ上がってるヤツ。
でも、あっという間に盗まれちゃう。
主人公は早大生なんだけど、体育の合宿授業で自転車を選択。いまどき、こんな科目あるの、早稲田だけだよ。
でもって、試しに走らせたら、すごい記録出しちゃう。
先生にも誉められちゃう。で、舞い上がっちゃう。
早稲田はじまって以来、初の自転車部の女性部員が誕生するわけ。
そこでのライバルとの確執。敗北。事故。絶望・・・。で、「サイクルスポーツ」の編集部にバイトで入るわけ。
編集長も変わってるし、 そこには自転車好きの強者がズラリ。
そこで揉まれて、自分の居場所を見つけたと思ったら、またまた挫折。大病をしながら、恋愛。結婚、妊娠。独立。自転車店オープン。
ホントに田園都市線青葉台駅ムチャリで2分のとこにオープンしてんのよねぇ・・・。
それにしても、小説とは気づかなかったなぁ・・・。
150円高。
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