2001年12月24日奥が深い「お墓の話」

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霊園巡りは面白いよ


 最近、お墓巡りに凝ってます。

 師走1日に母が亡くなり、慌ただしく通夜と葬式を終えてからというもの、時間があれば、仏壇見学、霊園探索をしております。すでに仏壇、霊園も購入し、あとはできあがるのを待つばかりですが、いまだに霊園巡りのほうは止まりません。

 おもしろいですね、霊園巡り。

 むかし、冗談で「趣味はお墓参りです」なんていってたのが、ホンモノになりそうです。

 近くの小平霊園に行ってみると、その大きさにビックリ。近くは墓石屋ばっかし。ラーメン屋さんなど、お客は墓参に来た人ばかり。しかし、まぁでかいこと。でかいこと。

 ここって、都立なんです。で、7月に応募して、あとは抽選なんですね。墓の一つ一つに住所が打ってありました。こんなにでかければ、そうでもしないとわからなくなりますよ。

 なんてたって、小平、東村山、それとどっかの市と3つにまたがってましたよ。

 多磨霊園はこれより大きいんです。もう、首都圏最大。ヘタすると、中で迷子になります。磁石もってかないと、行方不明になりますよ。いや、ホント。

 総持寺は永平寺と並んで曹洞宗の本山ですが、ここも大きいですね。元もと、横浜商人に菩提寺とするケースが多いんですが、最近は芸能人も多く、あの石原裕次郎の墓もここです。ほとんど観光地になっちゃってまして、行き先案内は出てるわ、行けば、観光客が記念撮影してるわで、ホント賑やか。花の絶えることはありません。

 横浜日野公園墓地は横浜市で管理してますが、ここには美空ひばりのお墓があります。横幅は2メートルくらいでしょうか。奥行きがあって、参道になってるんですね。



戒名なんていらない

 今回はたいへん勉強になりました。なにが勉強になったかというと、仏壇と墓の知識をたくさん仕入れることができたからです。

 葬式をするとき、最近は生前葬も少なくありませんし、葬式自体出さないって人もいます。仏式は戒名によってお布施が変わります。キリスト教、イスラム教はそんなことはないでしょう?

 親鸞さんは偉い人で、人間はみな平等。ここは戒名ではなく法名と呼んで、たいてい3文字。あまりにあっけないんで、「もっと長いのつけてください」と遺族から注文されることが少なくないそうです。

 で、ニーズに応えて長めにするらしいですが、これは親鸞さんの本意ではありません。

 それと、仏壇でキンキラキンのがありますね。周囲が黒で、中身がキンキラキン。わたし、あれが大嫌いなんです。でも、これ、親鸞さんの浄土真宗系に多いんですね。

 ホントはこのキンキラキンが基本なんです。そして、この手の仏壇は高価そうに見えますが、仏式ではいちばんコストがかからない。親鸞さんはやっぱり偉いのです。

 面白いのは、どの宗派もたいていご本尊は「南無釈迦爾佛」って書かれてると思います。けど、日蓮宗だけは日蓮さんがご本尊。お釈迦さんじゃありません。それにお布施がいちばん高いとか。修業が長いからね、この宗派は。

 お墓もいろいろあります。

 いちばん墓石に適してるのは、比較的、手に入るレベルでいえば、インド産黒石です。これによく似た黒い中国産の石もありますが、質がまったく違います。もちろん、値段もダンチです。おかげで、プロの墓石屋もよく騙されるそうです。

 むかし、邪道と言われ、いま、人気があるのがピンク色の石ですね。優しい感じが出ますでしょ。でも、この石の欠点は水分を吸いやすいんです。3カ月ほどで、もう上と下とでは色が変わってるはずですよ。参考までに裕次郎の墓もこのピンクっぽい石でしたが、これは日本製で、いまの時代、もう手に入りません。ものすごく高価なんです。一般のピンク石とはまったく違って、水にも強いんです。

 都会の霊園はどんどん小さくなっています。

 省資源というかなんというか。たとえば、3平米のスペースは少なく(つまり、ニーズが少ないということでもあります)、0.8〜1.2平米、1.6平米が多いですね。どこの霊園も広いスペースの墓を手前に、奥に行けば行くほど、小さな墓をたくさん用意してます。

 これも、生きてる間にお金は使うもの、墓にはお金を掛けないという現代気質が見て取れます。あるいは、お墓にお金を掛けられるのは、それだけで裕福な証拠かもしれません。

 わが家は裕福ではありませんが、亡き母の生前に何もしてやれなかった後悔の念から、仏壇と墓だけはベスト・オブ・ベストにしました。これも人間の弱みですね。ホントは生きている間にバンバン使ってやれば良かったんです。

 でもね、昔、家内の実家(熊本)の墓参に行ったときのことです。わたしと家内、そしてチビとで、3時間くらいかけて、バケツ、ゾウキンで何度も磨いてピッカピカにしたことあるんですよ。すると、それを見ていたお坊さんが、「これがホントの先祖供養です」って感動してくれました。

 戒名にしても、これは生前、悪いことをして、閻魔様に会うと困るから、名前を変えるわけですよ。生前、いいことばかりしていた人間には必要ないんです。俗名のままで閻魔様に堂々と会えばいいわけです。亡き母はそういう生き方のできた人でした。

 お墓とか仏壇って、面白いよ。マメ知識がいっぱいになりました。