2001年11月19日プロの政治家、アマの政治家

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内向きの政治


 タリバンが崩壊寸前ですね。今週にも投降するのではないか、などと報道されてますが、どうなんでしょ。

 北部同盟の外務大臣はハリウッド映画に出てきそうな俳優のような感じですが、さすがにアメリカ、イギリスの意向をよく読んでますね。その上で、「治安維持のためにカブールに入るしかなかった」という方便はかつての関東軍よりもリーズナブルな理由付けだ、と思いますね。

 たしかに、一言の重みがぜんぜん違ってたり、権力維持の争いが命懸けの国家は、政治家のレベルがやっぱり高くなりますね。

 日本の政治家は国民にバカにされてますが、それは戦後ずっと、政治家を必要とする時代じゃなかったからですね。だから内向きの政治家しか育たなかった。でも、それで十分成立できる国だったんです。

 彼らにしても、「外交は票にならない」って言ってるくらいですからね。で、土建や農家の後押しを懸命にしてきたわけでしょ。おかげでこの構造に依存する体質が地方には染みついてしまいました。





したたかな政治

 パキスタンの首相にしても、いままで西側から経済封鎖されてたのに、いまや、特別待遇です。

 災い転じて福となすってなもんでしょう。

 弱者のパワーですね、これも。政治家として、したたかです。

 かつても、日本にはしたたかな政治家がいました。

 終戦直後、吉田茂は深刻な食糧危機を乗り切るために占領軍に対して食糧放出を要求したことがあります。彼は農林省(当時)の統計に基づいて、「450万トンの食糧輸入がないと餓死者が出る」と発表したんですが、実際には70万トンで何とかできたにもかかわらずにです。

 案の定、デタラメな対応にマッカーサーは怒るわけですが、それに対して、「わが国の統計が完備していたなら、あんな無謀な戦争はやらなかったろうし、また戦争に勝っていたかもしれない」と白っと言ってのけます。

 したたかですなぁ。

 貧乏人はしたたかです。超金持ちもしたたかです。貧乏人はしたたかにならないと生きていけません。超金持ちはしたたかだからこそ、成り上がれたのです。

 周囲からむしり取られるのは誰か。

 それは「ボクってなに?」「ここはどこ? わたしはだれ?」と自分の為すべき世界観のない人間ですよ。

 これがアマとプロの政治家の違いのような気がします。困ったものです。