2017年05月26日「氷の花火 山口小夜子」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

 原原の講義でもご紹介したと思います。東京と博多はしてないな。テーマが違ったからね。今週末の新潟ではするかも。。。

 世界中の人々に“東洋の神秘”と称賛された伝説のモデル。けど、人生は謎に包まれて・・・70年代、ハーフモデル全盛のファッション界で“日本人であること”を武器にたった1人で世界に挑んだ女性。黒髪に切れ長の瞳の山口小夜子。。。

 なんとも素敵なドキュメンタリー映画です。


監督は松本貴子さん。

 NHKの「世界わが心の旅」という番組があります。出演者のターニングポイントとなった場所を訪ねる、つう番組です。松本さんはこの番組に関係してたんですね。

 「かつて取材でお会いしたことがあった山口小夜子さんに手紙を書き、番組出演をお願いしました。小夜子さんは、初めてのドキュメンタリー番組の出演で、不安もあったようですが、快諾してくださり、一緒にモロッコへ撮影旅行に行き、ベルベル族のいる村を訪ねました。」
 「99年、2本の番組が世に出ると、2人の関係もそれぞれ密になっていきます。小夜子さんとはプライベートでの付き合いが中心でしたが、草間弥生さんのドキュメンタリー映画を作ることになり、頭の中は草間さんのことだらけ。仕上げの編集がなんとかまとまり、草間さんに見てもらえる段階まで漕ぎ着けた07年8月・・・小夜子さんの悲報が届きました。」

 山口小夜子が亡くなったのは8月14日ですからね。本牧山妙香寺のそばです。元街小学校ですからね。地元ですよ。814年、法大師空海さんの創立です。国家君が代発祥の地ですし、日本吹奏楽発祥の地でもあります。

 「映画を撮りたいと願った原動力があります。実は、小夜子さんのことを、何も知らなかった、と気づいたことです。私が知っていたのはある時期のある側面だけ・・・。いちばん知りたかったのは、なぜモデルになったかということでした。以前、番組を作ったときに、小さい頃から眼が怖かった、カメラが、と話していましたし、雑誌のインタビュー記事にも、モデルになるつもりはなかった、とのインタビューが多く見られたからです。」
 
 「生前にその事について聞いたこともありませんでした。私は、映画をつくると決めてから、気がつくと”小夜子さんとの時間”に思いを馳せていました。何気ない瞬間、水泡のように、プク。プクプク・・・っと記憶が立ち上がってきます。」


個性ってのは欠点とか短所に隠されているもんです。見方を換えればものすごい魅力なんだけどね。気づいてる人は少ないなあ。

 山口小夜子の魅力は「切れ長の目」と言われますが、実はホントはつぶらな瞳なんですよ。独特のアイラインの入れ方、そして少し目を細めることで、切れ長を演出してたんです。

 これからパリで活躍しよう、と野心満々のモデルの卵たちも、個性つうより小夜子のデッドコピーのなんと多いこと。小夜子はパリでいちばん売れっ子でした。超有名なデザイナーたちが憧れていたのが小夜子ですからね。才能ではなく努力の人。自分マーケをとことん掘り下げてた人だと思うな。

 小夜子の生き様がまざまざと浮かんでくる映画でしてね。何回観ても感じるところがたくさん。超お勧め。。。


 さて、今日の「通勤快読」でご紹介する本は「長谷川慶太郎の『投資の王道』 トランプ幻想に翻弄される日本」(長谷川慶太郎著・1,080円・徳間書店)です。