2001年09月17日アメリカはやっぱり政治の国だ

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日本に外向きの政治家はいないのだ


 日本は特殊です。良かれ悪しかれ「特殊」です。

 まず、今回の「アメリカ同時テロ事件」に対しても「日本でできる最大の協力を惜しまない」と小泉さんがブッシュ大統領に言ったところで、日本にできることは経済的な貢献しかありませんね。

 アメリカはじめ関係諸国が日本に期待することは、一連のオペレーションの中で回された請求書を速やかに支払うこと。次に為替介入でアメリカの経済を支えること、できれば、ウォール街の株価暴落の歯止めになってくれれば、ということがあります(これはまぁ無理かもしれませんが)。

 でも、これが湾岸戦争以来、日本ができる唯一、絶対の貢献なんですね。

 憲法という枠があり、また世界の常識からかけ離れた政治の現実があり、国内向け(とくに地方向け)の政策しか考えたことがない政治家。「赴任地の政府のいいなりになることが外交だ」と信じる外務官僚の存在。自らの権益しか考えない内向きの官僚。

 どう考えても、政治的には日本はアメリカ合衆国の「51番目の州」としか言いようがありません。そもそもグローバル・スタンダードなど、はなから望むべくものでもありません。

 悲しいですが、それが現実のような気がするんですね。



内向きの国民と国家

 「いま、日本経済は大変だな。だけど、それを作ったのはあんたがたが政策を間違えたからだろう?」

 ここ10年の国家経営の失敗は政治家にすべてが責任がありますよ。

 小泉内閣には構造改革をしてもらわなければならないし、景気対策、経済改革もしてもらわなければなりません。

 でも、これ、すべて内向きの対策なんですね。

 だからでしょうか、いのいちばんにブッシュさんに激励の電話をかけたものの、パウエル国務長官が各国元首たちからの電話を次々に思い出しては紹介するなか、最後の最後まで名前を呼ばれませんでした。

 江沢民さん、プーチンさんまで紹介されたというのに、完全に無視です。

 以前もどこかでこんなことあったな、と思ったら、湾岸戦争のときがそうでしたね。あのときも橋本さんが完全に蚊帳の外。協力国家に感謝の言葉が述べられたのに、これまた、最後まで日本の名前は呼ばれませんでした。

 で、「おい、これ、おまえ払っとけ」と請求書だけは回ってくるんですね。

 たしかに大事なんです。何をするんだって、お金がいちばんものを言うんです。スポンサーがいるから、戦争だって継続できるんです。「わが国はお金がないから、人的貢献しかできないよ」という国もあるんです。

 でも、お金しか当てにされてないというのは、やっぱり特殊ですね。

 「あぁいい。彼に連絡するのは最後の最後でいいよ」

 これが国際舞台の中での日本の位置づけなんですね。

 「戦争は政治の破綻ではない。むきだしの政治の継続である」と言ったのはカール・フォン・クラウゼヴィッツだったと思いますが、日本がテロ行為に巻き込まれたとき、アメリカのように敢然たる態度、一枚岩の与党と野党、星条旗の下にはせ参じる国民の存在・・・を見て、「いざとなれば、日本人は一致団結する」というのは夢のまた夢だと感じてしまいましたよ。

 まさに政治をしている政治家たちと比べると、テレビで小泉さんや自民党三役が熱心に国際政治を語り、構造改革を語る姿を眺めるにつけ、「なんとちっぽけな政治家たちなんだろう」と感じざるを得ませんでした。まっ、比べても詮無いことですが。