2001年09月03日官製不況−−銀行員が客引きをする日
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さてさて、株価が下げ止まりませんね。1万1千円を割り込んでしまいました。
本欄の7月第1週で、「9月の頭に日経平均1万円。外れるといいんですが・・・」と書いていたのを覚えていらっしゃいますか。
マスコミの人たちはきちんとインプットしていたらしく、「どうしてそうなるの?」と今ごろになってひっきりなしに聞かれています。
そんなの簡単ですよ。下駄を放り投げて・・・、手を熱湯に入れて(卑弥呼の時代の話だよ、それじゃ)、まっ、ホントは売り一色になればここまでは下がりますよ。
株価は基本的に企業収益の結果と顧客の期待感とのマトリックスで決まるんですから。それをいままでは役所や政府がつっかい棒をしてたんだけど、もうしようがありませんでしょ。
となると、丸裸の株価が出て来ちゃいますよね。
最近、株で失敗した人から、「これからどんな株があがるか、教えてください」なんてメールが来たんですけど、そんなことわかってたら自分で買いますよ。自分じゃ買わないから、冷静に判断できるんで。これが買ってたら「上がれ、上がれ、上がらないと困るんじゃ」とか「下がれ、下がれ」とお百度参りしたりするハメになりますよ。
わたしは株を買うより、その分、自分の将来に投資した方がリターンは大きいし、確実だと思ってます。
でも、ここまま行くと、株価は・・・・円てなところに落ち着くかもね(もう言わない)。
銀行不況、大蔵・日銀不況、大蔵大臣不況
ところで、いまの日本が不況なのはほんの少しの勝ち組と圧倒的多数の負け組のせいですね。
しかも負け組たるや、金融機関と建設、不動産でしょ。それに本業を忘れて、子会社の不動産会社をフルに活用してばんばん地上げをしてきた流通業ですね。
まっ早い話が自業自得なわけです。で、それが大企業ばかりなんで、倒産すると会社に依存しているサラリーマンが路頭に迷う。みんな怖がってお金を使ってくれない。マイホームのローンも大変だ。居酒屋にも行けない。スーツも買えない。で、デフレになっちゃったわけです。
ということは、これ、大企業不況なんですね。サラリーマンも下請けもみんながみんな、「寄らば大樹の陰」と寄りかかってたのが、いまや、多くが「寄らば草葉の陰」になっちゃって、もう寄りかかれなくなっちゃった。こういう構図ですね。
そもそもゼネコンがダメになったのは、ゼネコンに発注した企業に土地を担保に銀行が融資を約束したにもかかわらず、バブルが弾けたんで、突然、知らんぷりこいちゃった分を被ってしまったわけでしょ。それがストレートにゼネコンを直撃してますよね。もちろん、銀行とグルになって地上げしたゼネコンもあるでしょうけど。
早い話が、平成不況は銀行不況であり、大蔵不況であり、歴代の大蔵大臣による不況であり、ここ数年のデフレスパイラルは日銀の度重なる判断ミス。つまり、「失われた10年(を越えて足かけ12年目)」はすべて金融当局による「官製不況」なんですね。
まぁ、これから銀行の中にも倒産するところが出てくるでしょう。都銀、地銀問わずにね。
で、問題は政府が国民をうまく騙して(もとい、「協力してもらって」)なんとか不良債権処理ができたとしましょう。銀行の中にもなんとか生き残ったところも出てくるでしょう。
さて、ホントの問題はそれからです。
融資の条件通りに返済してきたにもかかわらず、銀行の勝手な都合で即時返済を迫られたり、付け替えを要求されたり、あるいは突然、これからは融資に応じられないと宣告されたとしたら、信頼関係は損なわれるのは当たり前ですね。
もし、10年後にその銀行が無事に生き残ってたとしても、今回の一連の仕打ちを国民はみんな見てますし、経営者たちも見てます。
「そごう問題」のときに不良債権の棚上げなどと言われ、「サービスお客様商売がそんなことで立ちゆくはずがない」と言われて、民事再生法を適用したわけですね。
となると、国民が日本の従来の金融機関とつき合うかどうかはなはだ疑問なんです。
もし、もしですよ。
欧米の金融機関がこぞって、直接金融だけでなく、低金利でスムーズなサービスで間接金融の分野に本格的に乗り出したとしたら、日本の金融機関はどうなりますかね。
バブル最盛期に、「銀行よ、さようなら。証券よ、こんにちは」と言われたことがありました。
でも、これから「日本の銀行よ、さようなら。外国の銀行よ、ハロー、コマンタレブー」なんてならないとも限らないね。
そうなると駅前の風景も一変するでしょうね。
銀行のマークを大きく染め抜いた法被来た銀行員が各行入り乱れて、「お客さん、こっち、こっち。いいレートでサービスするからさ」なんて、客の袖を引っ張ったりしてね。
そんな時代がもうそこまで来てるような気がします。
これも外れるといいね。