2001年04月16日自民党総裁選についての一考察

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前車の轍を踏む本命候補


 自民党総裁選が宴たけなわですね。

 構造的には景気対策の橋本、亀井、麻生の各氏に対して、構造改革の小泉さんとか。いったい、だれになるんだか。

 この週末は候補者がテレビに出ずっぱりでした。わたしも暇に任せてチャネルを追っておりましたけど、テレビというのは怖いですね。ちょっとした仕草にその人の人間性が浮き彫りになってしまいます。予期しない質問を振られて、どぎまぎしたり、広げた風呂敷を畳めなくなったり、まぁ、ドラマよりもおもしろかったですね。

 そこで、今回は予想を占ってみたいと思います。皐月賞よりおもしろいと思いますよ。

 まず、本命の橋本さん。

 この人、日本医師会から特定郵便局長会まで幅広く票田を押さえてるんだから圧倒的に強いんです。でも、これだけ幅広くスポンサーがいるってことは、これは無茶はできませんね。お得意さんにたてつくことなどできるわけがありませんよ。やっぱり「週刊文春」のコピーに「橋本クン、きみは『あの人は今』にでも出ていればよろしい」「平成の貧乏神」とありましたが、その通りではないでしょうか。

 田原総一朗さんの番組で、「李登輝さんの来日問題(心臓病の手術のため)」について各候補者がコメントを求められていました。「李登輝さん側からビザ発給など要求されてない。だから、日本に入れるも入れないも、そもそもそんな問題など存在しない」というのが外務省の見解。で、この人、何と言ったか。

 「政府の一員として外務省の諸君を信じる」

 四角四面で融通が利かないコンコンチキとは思ってましたが、やっぱり三つ子の魂百までで治ってませんな。この人ではこの国難を乗り切ることはできません。だって、「3年前の雪辱を晴らしたい」と言って、今回、しゃしゃり出てきたんでしょ。

 3年前の失敗はいったい、どうして起こったのか・・・。大蔵官僚のがせネタを信じ込んで減税をうち切り、消費税を上げ、景気の腰を折ったのが原因でしょ。にもかかわらず、またまた役所と官僚の統一見解を信じるってんだから、どうなってるんでしょうね。この人が総理になったら、官僚は万々歳でしょうね。

 「また、鴨がネギしょってやってきた」って。

ダークホースが出てくるか


 さて、公共事業の神様、亀井さん。この人が総理になったら、国会はスキャンダル(かねてより噂の許永中事件)で大変でしょうね。法案どころの話じゃなくなって、一歩も動かないと思うよ。

 でも、官僚を押し切る強さというのはすごいね。宮沢さんの代わりに財務大臣やってもらったらどうでしょうか。金融監督庁でもいいですよ。でも、アクセル吹かしたとたん、車は後退したりして。よく見たら、ギアがバックに入ってたという懸念も否定できませんな。

 次に改革派の旗を掲げる小泉さん。田中真紀子さんが応援団長についてるし、国民的人気もあるし、郵貯民営化の旗も頑固に降ろさないし、なかなか骨っぽい。でも、この人は空回りするだけです。というのも、大局観がまったく見られません。部分にとらわれて全体を見ることができない。そんな気がします。

 野党は橋本さんか亀井さんになってもらいたいんでしょうね、本音の部分では。これだけ国民に嫌われてる総理なら、参院選で勝てる。小泉さんだと、ちょっと困る。真紀子さんと2人で全国遊説されたら大変だ。そう考えてるでしょうね。でも、小泉さんでも負けると思いますよ。

 で、わたしが個人的に買ってるのは実は麻生さんです。最初は泡沫候補としか認識してませんでした。でも、ここ数日の議論をずっと聞いてると、この人がいちばんまとも。全体を見ながら部分にも光を当てられる。

 李登輝さんの問題にも、橋本さんが「台湾、中国の対立構図をわが国に持ち込んでもらいたくない」とつい本音をしゃべってしまい、我関せずのスタンスをさらけ出してしまいました。小泉さんは「外務省の意見、いろんな人の意見を聞いて調査してからでないとコメントできない」と消極的、亀井さんは「邪魔している官房長官など首を切れ」と勇ましい。麻生さんは「ビザを出さない理由がない」と明快。あくまでも筋論で議論を展開する姿勢はほかの問題対処にも首尾一貫しています。

 政治家は逃げてちゃ、宦官と一緒ですよ。どうして、中国に気兼ねするのよ。ブッシュ政権はクリントンほど中国を特別待遇などしないはず。「あれはあれ、これはこれ」と、政治と経済、人道問題をごっちゃにするから世界からバカにされるんです。

 今回は現在の日本の特殊事情(もう崩壊寸前)を反映して、なぜかドメスティックな経済についてばかり議論が集中してますが、今後、外交や防衛なども含めて、諸外国との交渉ごとを考えると、五分で戦える資質を持つのは麻生さんだけじゃないかなぁ。

 橋本さんは杓子定規で煮ても焼いても食えない。日本人からこれだけ嫌われてる人に、外国人が好意を持つわけがありません。亀井さんは議論が噛み合わないだろうな。この人、支離滅裂だもの。小泉さんも活字にすると、なに言ってるかわかりません。話し言葉、書き言葉、すべてすんなり相手に通じるのは麻生さんだけ。わたしもこの3日間でつくづくわかりました。

 でも、結局は選挙は橋本さん有利で進むんでしょうね。で、本命の橋本さんが順当に勝ったら、わずか3カ月で「自民党最後の総裁」になると思いますよ。逆に、対抗の小泉さんが勝てば、自民党はまだ復活できる可能性がありますよ。

 でも、もし小泉さんを小沢一郎さんが抱き込んだ場合、これは政界再編が一挙に進みますね。民主党も割れるし、自民党も割れます。こうなると、あと2年間は日本経済は地獄を見ることになります。デフレ経済は確定的ですね。