2001年04月02日いいデフレ、悪いデフレ
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先日、久方ぶりに母校(大学)に行ってきました。
なんと20年ぶりで、景色がこんなに違うのかと驚きました。そもそも、理由は退官される中澤弘先生(理工学部教授)より、「院生相手にマネジメント論を話してくれまいか」という依頼に応えたわけです。
先生はシステム理論や発想理論では有名な方ですが、教育にも熱心で、ともすれば専門バカになりがちな学生にあの手この手で刺激を与えています。それが高じて、今度は八丁堀に早稲田のエクステンションスクールが開講しますが、なかでもビジネススクールの「中澤塾」の仕掛け人でもあります(そこでも講義しますよ)。
不況になると、採用にしても人件費にしてもドーンと削られます。みんな勝ち組を目指して競争します。そこで、資格やビジネススクールが盛んになるという「風が吹けば桶屋が儲かる」的なところがありますね。
収入はデフレ、でも能力はインフレで頑張らないと、将来はありませんね。
「デフレ」という言葉がそこかしこで言われるようになりました。
「日本経済はデフレである」とはじめて聞いたのは8年前のことでした。政府、エコノミストの間でもいろんな意見があって、まだまだ序の口、デフレスパイラルなどとんでもないといった議論が激しくありました。
その間、デパート・スーパーは8年連続前年対比売上、利益をともに下回り続け、気づいてみれば、ユニクロ、マクドナルド、しまむら、良品計画などがドーンと出てきました。バブル直後にフランス料理店が店じまいし、モツ鍋が流行したのに似ています。
これらはすべて既存システムのデストロイヤーですね。かつて、ダイエーがデビューしたときと同じです。すべて、革命という革命は既存システムの裏返しなんですね。
下がったのは、物価だけではありません。いちばん下がったのは金利ですが、地価も下がり続けてます。バブル前後、つまり10〜15年の間に買った人は資産がガタ減りですから買い換えもできません。でも、知人のデベロッパーに聞くと、20年以上前に購入した人はローンもないし、どんどん買っていると言ってます。
つまり、ここ10年間間の判断で勝ち組と負け組がはっきり分かれたわけで、そのころの購入者、つまりいま40代の人はかなりきついのではないかと思うのです。
先を読んで早く行動する
日本経済がデフレであること、不況が長引きそうなこと、そして金融機関の内実がやっぱりガタガタであること、倒産すべき企業の延命措置を解除せざるをえないこと。やっと政府は認めはじめたようですね(まだ、強気の人はいますけど)。
90年代は「失われた10年」と言われましたが、ホントにこれは「失った10年」であり、いったいどこのどいつが無くしたんだというと、政府、政治家、役人、金融機関、流通、ゼネコンということになるんでしょうな。諫早湾の問題にしても、水門を開けなければ海苔が全滅する、開ければ開けたでこれまたほかの養殖がタメになる。こちら側の漁協とあちら側の漁協では利害が対立しています。ならば、最初から「こんなものいらない」と作らなければ良かったわけですね。でも、公共事業のお金欲しさ、票欲しさに作ったヤツがいる。ゼネコンとそれに群がる中小の土建屋さんですね。もちろん、裏で暗躍した政治家や秘書もいるでしょう。
ここは中途半端に税金をつぎ込んで責任の所在をあやふやにするより、徹底的にダメになって、一揆を起こすくらいじゃないと日本人は目が覚めないでしょうね。
わたしは3年まえから「2001年がいちばん悲惨」と予想してました。ですから、今年、どんなに会社がつぶれようが、失業が増えようが、景気が悪くなろうが驚きません。
わたしの周囲には、わたし以上にこんな時代の到来を読んで、ビジネスの相手をドラスティックに換えてきた人がたくさんいます。たしかに、勝ち組相手にビジネスをしていれば不況も何も関係ありませんね。「君子、豹変す」といいます。既存システムにぶらさがっているような人にはとてもできない芸当です。
こういう準備をどれだけドラスティックにできるかどうかがいちばん重要なんですね。