2001年03月19日政治空白の意味するもの

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個人を救おうよ


 株価が下げ止まりませんね。

 自民党政調会長の亀井さんは「景気浮揚のためにはなんでもあり。なんでもやる」と宣っておりますが、この人、警察官僚上がりの政治家特有の恫喝ばかりが目立って、どうも経済がわかっているようには見えません。コメントを聞いても、「経済学、勉強してないんだろうな」と感じるのはわたしだけではないでしょう。

 ゼネコン、銀行、その他の「(献金)業界保護」に突っ走っているようですが、業界など助けなくていいんです。

 倒産するところは倒産させる。会社など消えてもいいんです。経営陣も、ここは見切り千両で決断しなければなりません。

 会社を切り捨てたかわりに、個人を救ってあげればいいんです。

 失業者には1年間限定月20万円の生活保障。100万人でも、たったの2000億円です。借金返済に使おうが、飲み代に使おうが自由。1年限りで打ち切りです。それに能力開発プログラムの受講などが1兆円かかったとしても、死に体の会社や業界のテコ入れに10兆円ぶち込むよりははるかにましですな。

 経営は道楽ではありません。道楽とは採算が合わない仕事のことを言います。税金を補填してもらわないと立ち行かないビジネス。第三セクターのリゾート運営、農業、銀行経営などがそうですね。

経済空白ですんでいるうちは楽


 アメリカの経常収支は過去最大の赤字。ダウ工業株価平均もドンと200ドルも下がりました。

 日本はアメリカの景気を心配し、アメリカは日本の景気を非難しており、どうやら責任のなすり合いの様相であります。

 世界的に著名な某投資家が3月上旬、来日しました。彼は世界的にこれまた有名な銀行を昨年売りました。「日本もアメリカも株式市場はもうダメ」ということで、ここはいったんマーケットから出て、ほかの金融商品に手持ちの資金を振り向けるらしいですな。ほかにも、アメリカの著名な某投資家は一昨年、つまり日本でネットバブルが騒がれる前に株をすべて処分しております。

 彼らが株式市場に戻ってくるのは日経平均が8000円くらいをつけたときでしょう。

 ところで、政治空白のおかげで経済までどんどん空洞化しています。株価については、政府は裏から手を回して3月末までは無理矢理にでも上げるかもしれません。でも、4月以降は地獄ですね。これから時価会計システムになれば、株式の持ち合いもリスクが発生しますから解消の方向に進むでしょう。個人は証券会社を信用してませんからドッと流れ込むようなこともありません。

 損失分を税控除でサービスでもしてくれなければ、だれもこんなマーケットには近寄りません。競馬だって、宝くじだって、どんどん税控除すればいいんです。消費を喚起するために、政府や自治体が取れる方策はそんなものです。

 でも、経済空白くらいですんでいるうちは楽ですよ。政治空白の怖さはまさしく政治が空白になったときです。たとえば、ハワイ沖の事故は相手がアメリカでしたから、これに政治的な意味はありませんでした。同盟国ですから、まさか戦争とはだれも考えなかったと思います。

 でも、これが日本海沖の事故だったとしたらどうでしょうか。相手国がアメリカではなく、ほかの国の、たとえばいつも外向的に衝突している国の軍事船だったとしたらどうだったでしょうか。

 リーダー不在の国家の恐ろしさというのは、ここにあります。

 明末の哲人政治家呂新吾の著書に『呻吟語』があります。このなかで、彼は「どんなにそれが酷いリーダーであっても、いないよりはいたほうがいい」と述べています。それはリーダー不在の国家はすでに国家ではなく、たんなる烏合の衆だからです。

 わたしが日本と敵対する国のリーダーだとしたら、いまのチャンスを見逃しませんがね。

 杞憂であれば、それでいいのですが・・・。