2001年01月15日捨てる勇気

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不安感とは捨てることへの不安

 21世紀になりました。今世紀も宜しくお願い申し上げます。

 さて、前回「捨てる勇気」についてお話ししたところ、いろんなところで話題になっているらしく、それならと今回も引き続き、「捨てる勇気」について語ろうと思います。

 いま日本人に不安感とか閉塞感が広がっている根本原因を一言でいえば、この捨てる勇気についてのストレスではないかと考えています。捨てるものが何もない人には、不安感などありません。たくさんの財産やキャリア、経験をもった人ほど、捨てることへの不安が募っているようです。

 平成の時代にちょんまげを結っているのは相撲取りくらいですが、わたしたちは知らないうちに心の中でちょんまげを結っているわけです。

 政治家は有権者の政党離れが確定的であるにもかかわらず、かといって既成政党のサポートや既成秩序からの応援、支持を捨てる勇気がありません。ですから、今度の参院選でも崩れゆく政党の未来とともに議席を失う人がかなり出てくることでしょう。

 いま不景気だ、不景気だと嘆いている経営者のみなさんも、よく考えれば、いままでのお客さんの財布の紐がきつくなったのが売上げ減の要因だと思うのです。どうせ、好景気の時も新規顧客の開拓などなかなかできなかったはずです。いま、インターネットだ、IT革命だと大騒ぎになっているのも、これが新しいセールスルートの開拓や商品企画の宝庫になるのではないかという期待感があるからです。

捨てなければ得られない

 隣の韓国はたいへんな不況に見舞われていますが、そんななか、証券各社はインターネットを営業に活用することを決め、すでに営業マンの首切りを断行しています。昨年のキーマンネットワークの四月度の講師を務めてくれた松井証券社長の松井道夫さんはすでに十年前に断行し、いまや勝ち組です。これは、従来の経営手法を捨てた勇気ではないでしょうか。

 もちろん、芭蕉ではありませんが、どんな世界にも不易流行はあるでしょう。しかし、ほとんどの守るべきこととは実は「しがらみ」であることのほうが少なくありません。

 でも、捨てないでさらに能力を磨き上げていくことよりも、捨てる勇気、転換する勇気のほうが難しいのです。

 そういえば、キーマンネットワークの分科会である人間観研究会の常任講師であった石川洋さんのテーマはいつも「捨てなければ得られない」でした。

 捨てれば、新しいものとの出会いがあるものです。

 今世紀、いったい何から捨てようかな。そんなところから人生を創造していくのもおもしろいのではないでしょうか。