2000年10月30日あまりに人間的な存在

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副大統領になれた理由


 中川官房長官が辞任というか、クビになった。

 わたしはこの人の義弟をよく知っているが、違う意味で心配になってしまった。

 というのも、この政治家は元もと新聞記者だったと思う。それが中川俊思という自民党の大物の娘婿となって政界にデビューしたのである(わたしの知人はこの俊思さんの実の息子。前官房長官は彼の姉の旦那さんに当たる)。

 いわば、「マスオさん」なわけだ。これだけ騒がれて、家で大丈夫なんだろうか。愛人を家に引っ張り込んだ(運転手のせいにしているが)というが、こんなこと、奥さんにわかって大丈夫なんだろうか。他人事ながら、ちょっと心配だ。

 むかし、アメリカにダン・クエールという政治家がいた。あのブッシュ大統領時代の副大統領をしていた人だ。

 普通、副大統領のことなど、日本はもちろん、アメリカでも関心がないから知らない。でも、この人だけは有名だった。彼を有名にしたのは2つのエピソードである。

 1つは小学校を訪れて、子どもたちに「potatoの綴りを教えてあげよう」と言って、間違ったスペルを教えてしまったこと。2つ目はカリフォルニアで遊説したときに地元民に点数稼ぎをしようとして、「I love California . I grew up in Phoenix .」と言ってしまったことである。ご存じの通り、フェニックスはお隣のアリゾナ州にある。とんだ勘違いというよりも、無知が引き起こした「事件」であった。それで、この人は一躍有名になったというわけ。有名になるにはいろん方法があるな、と当時、思ったものである。

 どうして、こんな人間を副大統領にしたんだろう、と感じていたら、最近、理由がわかった。3つの理由だ。

 1つは保守派にウケが良いこと。2つは若手で女性に人気があること。そして3つめは邪魔にならないこと。



ほんもののネガティブキャンペーン


 実はこの人のことを思いだしたのは、ほかでもない。日本にもホントによく似てる政治家がいるからだ。

 副大統領ではないが、総理と副総理ともいうべき官房長官がこんなタイプなんだナァ。官房長官が「邪魔にならない人」というのはおもしろいな。だけど、そんな人物だから同じ穴の狢となるのである。

 あまりに人間的な、かといって、それは存在の考えられないほどの軽さでもある。国内ではご愛敬で済むかも知れないが、これが外交問題で露呈しては国益を損なってしまうではないか。

 株式会社では利益を損なった役員には株主代表訴訟がある。内閣というのは会社に譬えれば、役員会だ。ということは総理大臣は社長さん、大臣は役員さんだ。もし国益を損なったときには彼らを「有権者代表訴訟」で訴えられればいいのだが、いまの総理を選挙で通すか通さないかの鍵を握っているのは石川県の有権者だけである。われら都会人にはまったく関与できないことなのだ。

 どうだろうか。大臣クラスは全国区で投票するというのは? それも「イエス(信認する)」より「ノー(信認しない)」のほうが多数であれば、即落選としたらいいのだ。これがホントのネガティブキャンペーンである。

 そうしない限り、田舎に利益誘導するだけの政治家がいつまでも跋扈することになる。どうせ、選挙制度を変えるなら、このように変えてもらいたい。ところが、与党は参議院の比例代表選挙を我田引水、牽強付会ともいうべきごり押しで、「一部の人気者に全員みんなでぶら下がろう」という選挙制度へと変えてしまった。

 有権者をよっぽど馬鹿だと思っているのだろう。

 けれども、そういう馬鹿は選挙にはいかない。こんなことで、騒ぎごとが好きなマスコミがぎゃあぎゃあ騒いで寝た子を起こしてしまっては、与党の目論見も消えてしまうのではないかと思う。どうだろうか?