2000年07月30日日本文化とアメリカ文化の興亡

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平成の不平等条約





 金融再生委員会の久世公堯氏も三菱信託と大京の資金提供問題が政治資金規制法逃れの色合いが濃く、とても逃げられまいと思っていたら、もう辞任だという。

 ところで、そんな下らないことより、新生銀行、日債銀の「瑕疵担保条項」である。

 そごう問題でクローズアップされたが、この平成の不平等条約は日本経済にとって核爆弾にも等しい。元もと、いま落選されておられる手心大臣越智通雄元衆院議員(大蔵省出身)が担当大臣中に契約したものであるが、「隠してもバレる」とは思わなかったのだろうか。それとも、「日本人はすぐに水に流してくれるから、バレてもそのうち忘れてくれる」とでも踏んだのだろうか。

 野党は「白紙に戻す」と息巻いているが、どんなにアホな契約でも契約は契約。アングロサクソン相手に(リップルウッド・ホールディングだが、正確には傘下のオランダ法人ニュー・LTCB・パートナーズ)、途中から、「あの話はなかったことにしてくれ」は通らないだろう。

 彼らにとって契約は神との約束に等しいものがある。合意の崩壊は即、損害賠償問題に跳ね返ると思う。もし、政治の力で瑕疵担保条項を撤廃できるとしたら、それに対するペナルティを覚悟しておくか、あるいは「力には力」「アングロサクソンには日本型調整方法」で、先方が折れざるを得ないような圧力をかけていく。たとえば、新生銀行が扱う債券などを日本国籍の全金融機関が扱わないように「根回しする」とかがあるだろう。

 とにかく、野党も与党も「江戸の敵は長崎で討つ」という役人お得意の方法で打開しろと命じるべきである。

 旧長銀については最後の最後に日本の金融機関が買収に名乗りを上げそうになったが、「瑕疵担保条項を行使したら、国内のお客さんに総すかんを食らうこと」が目に見えていたから、どんなに飴をぶら下げられても手を引いたのだと思う。

 あのころ、長銀をマネジメントしていた役員の方々は、最初のうちは退職金を返還すると言っていたにもかかわらず返還せず、悠々自適、あとはだれかがやってくれると高枕でお休みのことだろう。

 いま日本のリーダーは政財界を中心にどんどん小粒になっている。