2000年07月10日雪印にみる危機管理「不行き届き」の構図
カテゴリー価値ある情報」
第一印象は「冷たい人たちだナァ」
業界トップ企業である雪印乳業が食中毒事件を発生させた。
一万人以上の被害者を出した事件だが、事故そのものへの対応もお粗末だったが、極めつけは記者会見時の経営トップの対応のお粗末さである。これが結局、命取りとなって社長をはじめ、役員数名の首が飛んだ。
本来、危機を管理することなんてできるわけがない。人間ができることは二つだけ。一つは危機になる前にベストを尽くしておくこと。そして、二つ目は危機が顕在化したときにベストを尽くすことだ。雪印はこの二つともドジを踏んだわけだが、一言で言えば、皆さんもご指摘の通り、この会社には誰一人として危機管理をシビアに考えている人はいなかったということだろう。
危機管理というのは実は感性で決まる。経営者や担当者の感受性がどれだけ豊かであるか、それで決まるのである。この手の事件を起こす会社は早い話が、感性の偏差値が低いのである。
事故の前触れを感じ取る、発生したら、被害者(の家族)とどれだけ体温を同じく感じ取ることができるか、その姿勢があれば、自然と記者会見での対応(態度やスタンス)も違ったものになるのだ。それがないのは、「(事件処理に忙殺されて)寝ていない」という理由ではなく、「人間に対して愛情を感じていない」からだ、と思う。
実際、わたしの第一印象は「冷たい人たちなんだナァ」ということだった。こんな幹部のもとで働く社員たちはたいへんだな、とも感じた。
危機管理の収支を考えよう
少し前、S電機は石油ファンヒーターの欠陥で死亡事故を発生させたことがある。それに対して、欠陥ではないとしらばくれていた。被害者への補償も遅れに遅れたことは有名である。あの城南電機の宮城社長(故人)などカンカンに怒って、「原因を究明する」と自ら実験。さらに政治家まで動かして委員会で質問させたところ、すぐに役員がすっ飛んできたという。それまでは現場の担当者でお茶を濁していたくせにだ。
この事件以来、わたしはこの会社の商品は絶対に買わないことにしている。この会社の商品は、ファックスでもなんでもたいてい量販店では最低価格で販売されているが、わたしは高くとも他社のものを買っている。
現代は、顧客は「個客」である。広報ではなく「個報」である。家電ではなく「個電」なのだ。たくさんの顧客や消費者団体には腰を低くするが、たった一人の顧客や子どもだったら軽んじるという姿勢が商売であるわけがない。「仕事」を突き詰めて考えると、それは社会との調和である。顧客の人気投票で決まるのだ。
いわんや、インターネット全盛時代である。どんなに情報を隠そうとしても、あるいは操作しようとしても、そんなに簡単にできる時代ではない。内部告発でいずれ必ず漏れてしまうし、専門家筋から情報を取れば、たいていの事故の構図や原因など特定できるのである。一連の警察不祥事や医療事故もすべて関係者がチクったものである。
情報化社会とは、ガラスばりで監視されているということである。もう逃げられない。ならば、進んで情報公開することが結局は得をする。隠すことは一時は得をするが、それからあとの損は計り知れない。雪印の経営幹部も、ビジネスマンなら、もうちょっと危機管理の収支について考えを巡らして欲しかったと思う。
業界トップ企業である雪印乳業が食中毒事件を発生させた。
一万人以上の被害者を出した事件だが、事故そのものへの対応もお粗末だったが、極めつけは記者会見時の経営トップの対応のお粗末さである。これが結局、命取りとなって社長をはじめ、役員数名の首が飛んだ。
本来、危機を管理することなんてできるわけがない。人間ができることは二つだけ。一つは危機になる前にベストを尽くしておくこと。そして、二つ目は危機が顕在化したときにベストを尽くすことだ。雪印はこの二つともドジを踏んだわけだが、一言で言えば、皆さんもご指摘の通り、この会社には誰一人として危機管理をシビアに考えている人はいなかったということだろう。
危機管理というのは実は感性で決まる。経営者や担当者の感受性がどれだけ豊かであるか、それで決まるのである。この手の事件を起こす会社は早い話が、感性の偏差値が低いのである。
事故の前触れを感じ取る、発生したら、被害者(の家族)とどれだけ体温を同じく感じ取ることができるか、その姿勢があれば、自然と記者会見での対応(態度やスタンス)も違ったものになるのだ。それがないのは、「(事件処理に忙殺されて)寝ていない」という理由ではなく、「人間に対して愛情を感じていない」からだ、と思う。
実際、わたしの第一印象は「冷たい人たちなんだナァ」ということだった。こんな幹部のもとで働く社員たちはたいへんだな、とも感じた。
危機管理の収支を考えよう
少し前、S電機は石油ファンヒーターの欠陥で死亡事故を発生させたことがある。それに対して、欠陥ではないとしらばくれていた。被害者への補償も遅れに遅れたことは有名である。あの城南電機の宮城社長(故人)などカンカンに怒って、「原因を究明する」と自ら実験。さらに政治家まで動かして委員会で質問させたところ、すぐに役員がすっ飛んできたという。それまでは現場の担当者でお茶を濁していたくせにだ。
この事件以来、わたしはこの会社の商品は絶対に買わないことにしている。この会社の商品は、ファックスでもなんでもたいてい量販店では最低価格で販売されているが、わたしは高くとも他社のものを買っている。
現代は、顧客は「個客」である。広報ではなく「個報」である。家電ではなく「個電」なのだ。たくさんの顧客や消費者団体には腰を低くするが、たった一人の顧客や子どもだったら軽んじるという姿勢が商売であるわけがない。「仕事」を突き詰めて考えると、それは社会との調和である。顧客の人気投票で決まるのだ。
いわんや、インターネット全盛時代である。どんなに情報を隠そうとしても、あるいは操作しようとしても、そんなに簡単にできる時代ではない。内部告発でいずれ必ず漏れてしまうし、専門家筋から情報を取れば、たいていの事故の構図や原因など特定できるのである。一連の警察不祥事や医療事故もすべて関係者がチクったものである。
情報化社会とは、ガラスばりで監視されているということである。もう逃げられない。ならば、進んで情報公開することが結局は得をする。隠すことは一時は得をするが、それからあとの損は計り知れない。雪印の経営幹部も、ビジネスマンなら、もうちょっと危機管理の収支について考えを巡らして欲しかったと思う。