2005年01月24日「斎藤一人とみっちゃん先生が行く」「古本屋の女房」「ファム」
1 「斎藤一人とみっちゃん先生が行く」
みっちゃん先生著 ロングセラーズ 1365円
納税額実質ナンバーワン、あの「銀座まるかん」の一人さん。その代理店の「みっちゃん先生商店」を経営するみっちゃん先生の本。
「みゃっちんはウサギなんだ。そのままでいいんだよ。ウサギはキバを持ってないけど、逃げるための耳と足を持ってる。だから、ウサギはトラのように生きる必要はないんだよ」
例によって、読んでるだけで癒やされる本になってます。
みっちゃん先生は、子供の頃から周囲と比較され、劣等感の中で育ってきた人です。
「みっちゃん先生」と呼ばれるようになったのは、経営者になるずっと前。
「みっちゃん」と「先生」って、二重敬語みたい。呼んでると、呼ばれると、人生がいまよりうんと良くなるような気がする。
「もっと楽しくなるかもよ・・・」
そう言ってくれたのが一人さん、だそうです。
「他人と比較するより、昨日の自分と比較したほうが楽しいよ」
世の中には誉め上手な人がたくさんいます。
けど、見え見えのお世辞だったり、「こいつ、利用してやろう」なんて腹に一物持ってたりする人も少なくありませんね。
でも、人間て弱いから、そんな人の言うことでもついつい信じちゃうし、心開いてしまいます。
真心っていうのかなぁ、そんな心の持ち主から言われたいなぁ・・・ホントに。
みっちゃん先生の特技は、人を誉めること。知らないに、一人さんから「誉めたがり菌」を植え付けられてしまった。
けど、たった1人だけ肝心の人を誉めることができなかった。
それが自分。
250円高。
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2 「古本屋の女房」
田中栞著 平凡社 1575円
「ご主人と結婚したの? それとも古本屋さんと結婚したの?」
結婚式でこんなことをいわれるほど、著者は古本が好き。で、ご主人も古本が好き。
むかし、渋谷の東急映画館街の裏に渋谷書店という店があったのね。いま、山下書店になってるけど。著者は青学の学生時代、そこに勤めてたんだって。
で、そこで知り合ったのが、いまのご主人。
職場結婚じゃないわけ。だって、著者は三笠書房に入社してますから。
それから、何年か経って、横浜の元町というか、石川町の古本屋さんにブラッと入ったら、しまのご主人とばったり。
古本屋さん、やってたんです。
まっ、運命的な出会いかな。
いま、横浜線の大口駅のそばでも店を出してます。元町はほかの人に任せてるのね。わたし、その店、知ってます。
これは古本屋さん、新刊書店も同じなんだけど、いちばん辛いのは「万引き」ですね。そのまま、ロスになっちゃうから。
けど、わたしのような本を書いてる人間、あるいは出版社にとっては、実は「万引き」されちゃっても、そのまま「売上」と計算されますから儲かるわけです。つまり、書店の一人損になるわけですよ。
だから、昔、万引き常習者の写真を貼ったり、万引きの瞬間を撮影したビデオを店内で流しっぱなしにした書店があって、プライバシー侵害、名誉毀損だとかで問題になりましたけど、これって、書店にとっては死活問題なのね。
けど、この店の主人は万引きはするほうも悪いけど、させるほうも悪いというスタンス。
ここ、棚に本を並べるのもギシギシに詰めてしまいます。すると、一冊でもスペースが空くとすぐに気づくし、また、お客の立場からしてもなかなか取りにくいでしょ。
結果として、万引きも減るってわけ。
著者は古本屋の奥さんだから、赤ちゃんを抱えて全国あちことに仕入れに行ったりね。売上がなかなかあがらなくて離婚しようかどうかと悩んだりね。
古本屋って目利きじゃないとつとまりません。稀覯本とかは一冊何百万円、何千万円というのがありますからね。
ほとんど、なんでも鑑定団のノリなのよ。
実際、新刊書店はバイトでもつとまるかもしれないけど、古本屋は本のプロじゃないとダメ。
「こんな本、ない?」と聞かれると、同僚とどちらが早く探せるかを競ってたというほど、現場好きなのよ。
けど、ベテランになって偉くなると、現場じゃなく、管理仕事で奥に引っ込むケースが多くなるでしょ。それが嫌だったみたい。
実はこの本も古本屋街の神田神保町をブラブラしてた時に見つけた本。東京堂書店が好きでよく行くんだけど、なんと、著者のサイン本なのよ。
著者がいうように、古本屋さんてトイレがないね。普通の書店もたいていないもの。
大阪の江坂にある天牛書店は立派。5階建てのビルの中にデラックスなトイレがデンとあります。
今度、行ってみてください。
書店というのは、待ち合わせ場所としては最高だものね。暇つぶしになるし、勉強になるし、やっぱり情報発信基地ですよ。
大学の時は文庫まで古本屋さんで買ってましたもんね。もちろん、教科書もそう。
忘れられないのは「虚無主義(ニヒリズム)」という本かな。
いろんな人の遺書を編纂した本なんだけど、この中に山崎晃嗣の「われ、高利貸しになりえざりし弁明」という遺書があって、当時、まだ二十歳だったからいたく、深く感銘を受けたことを覚えてますね。
いまでも、実家の書庫のどこかにあるんじゃないかなぁ・・・。
東大で若槻礼次郎以来の秀才といわれ、学生時代に「光クラブ」という金融業をスタート。いまのサラ金の走りですよ。
最後は法律に潰されてしまうわけだけど、「死人に罪を問うことはできない」という法律論を持ち出して自殺しちゃいましたね。高木彬光の「白昼の死角」のモデルになった人物だよね。
まっ、古本屋街をブラブラするだけでも楽しい。ということは、学生街をブラブラするのが好きなわけです。
150円高。
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3 「ファム」
バナナボートクルー著 二見書房 1050円
サブタイトルが「女として、女優として」とあるように、時代を彩った欧米の女優陣がズラリ。
で、彼女たちのフォトに彼女たちの肉声が綴られているわけ。
「I leave before being left . I deside .」
「サヨナラは、言われる前にこちらから言うわ。決めるのはいだってわたしよ」
これ、ベベこと、ブリジット・バルドーの言葉ですね。格好いいじゃん。
「ハリウッドは面白いところよ。聖地に見せかけているけど、本当は魔界よりも邪悪なの」
これ、モナコ王妃になったグレース・ケリーの言葉です。
けど、どうして、わたしのいちばん好きなカトリーヌ・ドヌーブが出てないんだ?
150円高。
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