2005年01月10日「春、バーニーズで」「女だけが楽しむ ポルノの秘密」「心ののぞき方」
1 「春、バーニーズで」
吉田修一著 文藝春秋 1200円
銀座の交洵社ビルが年末に様変わりしましたね。バーニーズも入ったし、三階は小じゃれたレストランがいくつもあります。
横浜にもバーニーズがあって、ニューグランドホテルの裏当たりなんですけどね。
ここ、いいですよ。
どこがいいって、表現がちょっとむずかしいんだけど、ひと言で言うと、「客筋が違う」ってことかなぁ。
わたし、この近く、つまり山下公園は散歩コースだから、向かいの喫茶店からよくぼんやり眺めてるんですよね。すると、間違って入ったんでしょうけど、たまにバッグだけは高級品、靴だけは高価みたいな「一点豪華主義」のお客もいますけど、基本的にはここのお客はかなり洗練されてるんです。
やっぱ、違う。男も女も上から下までビシッと決めてます。ファッションにこだわりを持ってる人。
それがバーニーズのお客の特徴だと、わたしは感じます。
横浜の元町も地下鉄が延びてから完璧に観光ストリートになってしまって、どことなくこだわりのお洒落な「いい女」「いい男」をとんと見かけなくなりました。ホント、土日なんかひどいもの。
昔から元町を知ってる連中など、階上の喫茶店から眺めて、「こんだけ集まって、一人もいい女がいないって、ある意味、すげぇよな」って呟いてました(ウィークデーのほうがいいよ)。
で、そんなバーニーズ、ただし、銀座でもなく、もちろん、横浜でもなく、新宿店を舞台にスタートする小説がこれ。
バーニーズ六階のスーツ売場で、最初にその人の視線に気づいたのは瞳(主人公の奥さん)だった。
「知ってる人?」
「いや、知らない」
その人の横にはまだ学生らしい若い男が立っていた。
ひどく恥ずかしがっているその青年の痩せた身体に、その人がとっかえひっかえシルクのシャツを合わせている様子が映っていた。
声が大きすぎるのか、それとも中年男の風体で女言葉を話しているからか・・・客の視線がその人のほうへ集まっている。
この中年男、実は主人公と十年前に一緒に住んでいた。やっぱり、当時、場違いな店に連れ込まれてぎこちなく固まっている若者がいた。もちろん、主人公ね。
日常生活の中にある景色。さりげない物語をさりげなく、あざやかに写し取っている文章です。
好きだなぁ・・・こういう小品。
250円高。
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2 「女だけが楽しむ ポルノの秘密」
キャスリン・サーモン著 新潮社 1155円
これ、日テレで活躍する放送作家の方が推薦してくれたんです。あの大晦日に放送された細木数子さんの番組とか作ってるの。
で、「小説の参考になるんじゃないの」ってね。
まっ、それはいいんだけど・・・。
で、なんともタイトルは興味津々、意味深だけど、まっ、セックス文化人類学の本かなぁ。
心理学者デウィッド・バスが独身の学生男女に対して、性的パートナーを何人もちたいか、「翌月」から「生涯」までのいくつもの期間に分けて調査してるわけ。
この男女の違いなんだけど、結果はすべての期間、男が女を上回った。
たとえば、来年という話だと、男が平均6人、女は1人。
男女のリスクの違いかな。
なんの危険もリスクもない。だれにも内緒。見つからない。容姿などすべての条件は恋人と同じ・・・で、浮気ができるとしたら?
「きっとそうする」・・・男17パーセント、女4パーセント。
「そうはしない」・・・ 男20パーセント、女50パーセント。
少ないのか、多いのか。いずれにしても、ホントかね・・・。
「すぐにOKするような女とできるとしたら?」という質問。
これにはほとんどの男が「一時保留」。
当たり前ですよね。こういう女性って、いわゆる、「公衆便所」でしょ。公衆便所が不潔な理由は、不特定多数が使ってるからです。
女性も同じ。いつでも、どこでも、だれとでもなんて女性、肉体的にどうこう言うより、精神的に不潔そのもの。
職場のだれにも知られず、裏では身体を利用して業績あげてる人、いるだろうねぇ。1万人に1人くらいはいると思うね。ある意味でエネルギッシュな人。
けど、やったことは消えないから怖いね。
「奥さんにはいろいろお世話になりました」
知らぬは亭主ばかりなり。でも、きっとどこかでバレる。そうなると、もう終わりだろうね。
けど、想像の世界ではなく現実的にそういうシチュエーションになったらどうか?
実際にサクラを使って実験したの。
すると・・・。
「デートだったら?」・・・男50パーセント、女53パーセント。
「アパートに行く?」・・・男69パーセント、女3パーセント。
「ベッドまで行く?」・・・男72パーセント、女0パーセント。
ここでも女性の貞操観念が突出してますね。「女の命は貞節だ」っていうのがやっぱり定説だよね。
150円高。
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3 「心ののぞき方」
山崎世美子著 サンマーク出版 1365円
「プライドを傷つけられた時の女ほど、怖ろしいものはない」
いままで2万人以上の女性と接してきた著者の実感です。
著者の仕事はオンナ探偵。別にオトコ探偵と区別するわけではありませんが、ちと運営方法が変わってる。
たとえば、旦那の浮気調査。これはいつだって、探偵事務所のドル箱ですね。訪問する時、ちょっと緊張するでしょ。
だから、あえて明るくあいさつしてしまう。
「こんにちわ、いらっしゃいませ」
この一声にホッとするわけです。
探偵事務所のイメージって、隠花植物っぽいもんね。暗くて、影のような、忍者のような、隠密のような・・・ね。
女性ならではのサービスというか、気配り、心配りもあります。
「浮気相手の女を殺そうと思って、ナイフ持ってます」というクライアント。
「わかりますよぉ、その気持ち。でも、まだやってないでしょ?」と明るく答える。これでホッとするわけ。
クライアントからの情報収集やファミリア度などにも一役買っているようです。
この本は浮気調査のノウハウとかではなく、男と女の心の違い。態度の違い。生理の違いについて詳しく述べられてますね。
まさに「心ののぞき方」。
たとえば、女性にとって大切な記念日を平気で忘れる男。これ、最低!
忙しいからといって、誕生日プレゼントを買い忘れたりね。いくら忙しくても、仕事の性にしてはダメ。
これは男の都合であって、理解して、許してくれる女性は少ないでしょう。
誕生日ケーキを買い忘れちゃった。女性にとって、これは些細なことではありません。
「所詮、わたしなんかどうでもいいんでしょ?」
ケーキ云々ではなく、いい加減に扱われたことに怒りを覚えるわけ。
だから、大切な女性、まして奥さんや婚約者、恋人ならば、結婚記念日や誕生日などは前からわかってるわけですから、高価じゃなくてもいいからプレゼントを用意したり、レストランを予約したりすることは当たり前のこと。
でないと、フラれてもしょうがないよね。
知人にアメリカでビジネスをしてるバリバリのキャリアウーマン(元トップモデル、今度、本が出ますよ!)がいますが、彼女など、たった1回、バースデイカードを出し忘れた元カレを許してませんね。
「毎年、誕生日が近づくと電話やメールがあるんだけど、二度と出ないし返信もしない。女にとって、バースデイは特別なの」だって。
おぉ、こわぁ。
まっ、当然のことでしょ。
著者によれば、「女はセックスの時に九十パーセントは演技をしている」そうです。
男性は射精という証拠があるけれども、女にはありませんものね。イッタかどうかのバロメーターがない。
「オレとのHではじめてイッタらしいよ」
「一年半ぶりのHで最高に興奮した」
「こんなにHがいいものなんて、もっと早く知りたかったと言われた」
男同士で自慢合戦がはじまりますが、そんなのぜーんぶウソ。
これは演技です。「オレではじめて感じた」なんてのは「だれが相手でも感じます」だし、一年半というのは「一週間」と思ってたほうがいいし、「もっと早く知りたかった」なんてのは「とっくの昔に知ってます」と言い換えたほうがいいんです。
これがわからないようでは、やっぱり騙されると思うな。
本気の場合は、たとえば、男女関係が半年とか一年以上続いてるというケースでしょうな。
もしそうなら、これは「本気」。
だって、ぶっちゃけ、男は浮気と割り切ってつきあえるけど、女性の場合は絶対に「心」が必要だもの。
心がなくてもHができる女性ってのは、早い話がよっぽどの淫乱か、商売女しかいません。こんなのは体よく別れることですね。できれば、男性が振られちゃったという形式をとったほうがいいでしょう。
女が男を疑いはじめたとき、いちばん最初にチェックするのは何か?
それはケータイ、手帳、そして財布の中身です。それもさもさりげなくチェックするから怖い。
もし身辺をさぐられてるような気がしたら、もうあなたは「容疑者」扱いをされていると思って間違いなし!
男ってバカだから、どんなに気をつけても穴があります。女はその点したたかだから、ずるいですよ。
女の場合、彼ができるとまず女友達に逐一相談してますね。
どちらも他人の恋愛話が好きだから、逐一聞き出してます。相手の恋愛歴を深い部分まで知ってます。
すべて知られてると見て間違いない!
女は男の前では上手に本性を隠しています。モテる女になればなるほど演技上手です。
しかし、その本性を見抜くポイントがいくつかあります。
まず、目線。
女性と話している時の目線ではなく、視線が外れた時のその女性の様子を観察します。面と向かっている時はボロが出ないけど、これが男性が別の人と話をしてる時、自分が見られていないと油断してる時、いろんなことがわかります。
目線はごまかしが効かないんです。
たとえば、ニコニコ話していたのに、視線を外した途端、つまらなそうな顔をする。「ははぁ、営業スマイルだったんだな」とわかります。
目線にはその人の性格が出ます。まさに、目は口ほどにものをいうんですね。
たとえば、こんな女性もいるんですよ。
喫茶店の窓から通りがかりの人を何気なく見つめる目。それにものすごくトゲがある。あるいは若い女性、とくにそれが美人だったりすると、眉間に皺を寄せて険のある目つき。上から下までばっちり決めてる女性には、今度は値踏みするような目つき。
いくらなんでもこれを彼の前でやったら終わりですよね。だって、心の貧しさ、育ちの悪さが一目瞭然ですもの。
「ラブホテルで彼女と抱き合っている時、鏡に映った彼女の目線が氷のように冷たくて、自分が利用されていることがわかった」
これはある男性クライアントが吐露したことです。
250円高。
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