2005年12月05日「私は美人」 酒井順子著 朝日新聞社 1260円

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」

 「負け犬」で一躍、有名になった人ですね。けど、あの本は詰まらなかった。
 こっちのほうがはるかにいいんじゃない。

 女の本音は怖いね。
 「私自身、自分のことを美人だと思ってる女が大っ嫌いなのであり、中でも、全然美人ではないのに自分のことを美人だと思ってる女に対しては、軽い殺意さえ抱き、どうにかして、本当のことをこの女にわからせてやりたい、と思ってしまう」とのこと。
 余計なお世話だけと、そうせずにはいられない。気が済まない。そういう人、いますね。
 けど、そういう著者本人も「実は私は、美人なのです。」とおっしゃってます。
 つまり、これは相手に投影された自分の姿を見たくない、という潜在意識がなせるいたずらなのよ。
 
 で、男はね。微妙に違うんだな。
 「自分が美人だと思ってる女」はあまり好きじゃないと思う。
 たとえば、先日、テレビの歌謡番組でスリットがものすごく入ったドピンクのドレスを着て、カメラが映すたびに右足を前に出してふとももを露わにしてた紀香ちゃん。これ、いくら彼女でも「自意識過剰?」で思わず引いてしまいます。
 それより、「あの子、自分の価値に気づいてないね」「ものすごくいい女なのに」という、野に咲くスミレ草みたいな女性に惹かれるわけですよ。たぶん、男には光源氏体質があって、「オレの力で花開かせてやるぜ」みたいな感覚があるんだね。

 つまり、奥ゆかしい女性が男は好きなんだよ。
 男にとっていちばんウザイのは、いつだって「図々しい女」「厚かましい女」であって、美醜の評価などそんなにたいしたことではないんです。
 「美人じゃなくてもモテる人」って、たくさんいるでしょ。

 余計なお世話かもしれないけど、30歳過ぎたらミニスカートは止めたほうがいいんじゃないかな。
 これ、格好悪いです。中には40代でもいますね。
 「若い頃、脚が綺麗ってチヤホヤされたんだろうな」「まだ綺麗って言われたいんだろうな」と思うから、「スタイルいいですね」とちゃんと誉めます。
 けど、ホントは脚に自信があるなら、ミニじゃなくて座った時に膝頭が見える程度のスカートがいちばんセクシーに見えるんです。
 「見せすぎると下品になる」ということに気づいてないんだね。30代、40代で気づかないって中身が幼いんだろうな。

 さて、本書には付録として「突撃探検隊」みたいなのがあります。テーマは「日本海側美人一県おき説」の追究。まっ、いい加減なリサーチなんだけど。
 この説は「秋田は美人の産地だけど、隣の青森、山形は×、で、山形の隣の新潟はこれまた美人の産地。隣の富山は×。その隣の石川は金沢があるから美人の産地。隣の福井は×」というもの。
 これ、ホント? で、著者は現地で調査しちゃうわけ。たしかに、そういえば、昔、全国を回ってた時、同じようなことを感じたなぁ。
 で、著者は編集者(男)と一緒に県庁所在地の繁華街でカウントすると、やっぱり、この説は当たってるのね。
 けどね、その美人率を比較すると、最低の県でも「東京銀座」のそれよりはるかに数字が高い! つまり、銀座を歩いてる人って、紀香レベルの美人も稀にお目にかかるけど、その他大勢は美人ではないってこと?(多分そうなんだよ)
 まっ、女性にとっては耳が痛い本。だけど、「ここに注意したらどう」という指南書として読める。180円高。