2006年01月23日「三億を護れ!」 新堂冬樹著 徳間書店 1890円

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」

 新堂冬樹さんといえば、「無限地獄」「ろくでなし」かな。
 最底辺でうごめく人間たち、ホントにろくでなしで、無限地獄の連中の世界を描かせたら天下一品。
 前にDVDを借りたんだけど、小説のほうが迫力があったことを覚えてますな。

 宝くじ、買ったことある?
 私?
 昔はよく買いましたねぇ。で、それなりに得したと思う。といっても、30万円くらいしか回収してないけど。
 投資分は戻ってきました。

 いま?
 買わないね。
 だって、人生そのものが宝くじだもの。私の人生はライブドアの株価みたいなものだものね。

 でも、「3億円の宝くじ」、当たったら人生、変わるかな? どうだろ?
 
 主人公は教材の訪問販売セールスマン。
 けど、これがどうしようもないダメ社員。42歳なんだけど、売上があがらなくて、社長から毎日「給料泥棒!」呼ばわりされてるんだけど、言い返せない。同僚からは嘲笑され、たった1人の女性社員からもからかわれる始末。
 基本給とコミッションで計12万円。これが月給。ちょっと厳しいよね。
 もち、トドのような奥さんからも小馬鹿にされ、ヤンキーの娘、そのカレシからもシカトされる始末。
 つまり、どこにも居場所がない人なのね。

 でも、そんな男でも周囲の評価を一変させる出来事が・・・。
 それが3億円の宝くじの当選!!

 そりゃ、変わるわな。
 計算したら、25年間、毎日、クラブ活動できるじゃないの!!
 仕事とクラブ活動の両立? うん、私はできますよ。

 けど、その日から、周囲に狙われます。
 家族、親戚、近所の人、投資会社、寄付、詐欺師・・・あの手この手でこの3億を奪取しようと大変なのよ。
それをどう守るか?

 けど、この男、底抜けのアホ。1人ではとうてい守れません。
 なんつったって、ボコボコのキャパ嬢上がりの女を「処女」と偽られ、「父親の借金を肩代わりする!」と舞い上がるバカだもの。

 3億手にした時、人間がどう変わるか。周囲の人間がどう変わるか?
 うん、まっ、こうなるだろうな・・・と感じるね。
 さて、このアホ男、どうなることやら? 3億円、守れるのかね?
 痛快ドタバタ大巨編。
 主人公を守る男として「週刊夕陽芸能」の記者が登場するけど、まっ、この小説が連載されてたのが「週刊アサヒ芸能」だからね。200円高。