2004年08月30日「オバサンとサムライ」「運をつかむ瞑想法」「船井幸雄のツキを呼ぶコツ」

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」


1 「オバサンとサムライ」
 養老孟司+テリー伊藤著 宝島社 1100円

 「バカの壁」でベストセラーを出した養老先生、それにユニークなプロデューサーとして知られるテリーさんとの化学変化でどうなったか、を問う一冊てなところでしょうか。

 やはり、養老先生は鋭いね。で、自然体。
 テリーさんはひたすら聞き役。これは自分の役回りをよく知ってるね。ヘタに五寸で議論しようと思ったってそれは無理というもの。
 なぜ、無理か。
 感覚で刹那的にものを考え、表現してきた人。それととことん考え詰めてきた人とでは、深さが違うからです。
 だから、実は議論としてもそんなに面白いわけではありません(こんなことしか引き出せないなら、編集部が勝手にやりゃ良かったと思うな)。

 さて、養老さんは実はわたしも大変お世話になってるんです。
 というのも、大学院の時、論文をまとめるためにしばらくつき合ってもらった経験があるんですね。この時も、バカの壁みたいな話はしてましたよ。

 で、本書の読み方ですが、こんなとっちらかった本はありません。
 勝手に養老さんが話したいことを話してるって本ですからね。けど、それがいい。ごった煮みたいで、楽しいじゃないですか。話題があっちに移り、こっちに移り、だけど、いろんな小テーマが続々と出てくる。

 たとえば・・・。

 「本当はなにか別なものが欲しいんだけど、とりあえず、いまはそれが欲しいって手を伸ばそうとする。そこから間違いが始まっているんです」
 「日本の男はとくに弱くなっている。日本、中国、韓国、アメリカの四カ国の若者にアンケート調査した。男らしさについては日本が最低だった」
 「男の子はデリケートで、言葉の表現が足りない」
 「男の働き場とは、基本的に有事なんです」
 「政治の世界でも、総理大臣が、公約なんかたいしたことないって言っちゃう。だれも本気で話してないし、聞いていない」
 「言葉を増やすということは、逆に言葉を軽くすることにつながる」
 「憲法九条にはそもそも法律として使ってはいけない言葉が入っている。それは、国際紛争を解決する手段としては、武力はこれを永久に放棄する。法律の中に永久なんて書いてある。人間が作る文章の中に、永久になんて言葉を入れちゃいけない」
 「大正十年以降、ひたすら幼児と女性の寿命が延びだした。それ以前は男の寿命のほうが長かったのに、そこを起点に変わった。その理由は、水道水の塩素消毒がスタートしたから。医療のおかげでもなんでもない。根本は水です。環境なんです」
 「オウムは一種のひきこもり。世間を遮断して生きる」
 「キレやすいのは、前頭葉の機能が低下している」
 200円高。
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2 「運をつかむ瞑想法」
 青木宏之著 青春出版社 1365円

 著者はメルマガでも紹介した人物です。
 新体道というボディアートの創始者ですが、わたしは哲人として尊敬しています。
 徹底的に優しくて、徹底的に強くて、徹底的に凛々しい男ですな。

 新体道は日本をはじめ、イギリス、フランスでも弟子がたくさんいます。で、先般、イギリス女王から「サー」の称号を贈られたという稀有な日本人です。
 武道家なんですけど、元々は演劇青年。演劇をするために、身体を鍛えようと空手を始めたところ、中央大学で主将になり、空手の世界チャンピオンにもなっちゃった。
 世界放浪の際、小遣い稼ぎにあの落合信彦の兄貴が全米で空手道場をチェーン展開してるんだけど、そこで師範代を務めて、あちらこちらを旅したんですね。

 ここ数年、彼が精力を注いでいるのは書道です。
 彼の書はニューヨークのメトロポリタン美術館にも収められているんですが、実は、十年ほど前、そごう美術館で個展を開いたことがあります。
 その時、いのいちばんに駆けつけました。というのも、ずっと注目していた作品があるからです。
 その作品については、著者の自宅に伺った際に一目惚れしてしまったもので、彼の代表作とも言える「般若心経(しかもなんと梵語のヤツ)」です。
 額まで漆塗りの特注で、実際、いくらとのくらいの価値があるのかさえわかりません。
 著者自身、「若くてエネルギーがあったからなんとか書けた。もう二度、書けません」という代物です。
 それ、知ってましたから、すぐ購入したんです。

 わたしの五分後に、横浜そごうに水島広雄さん(元オーナー)が来ました。で、控える役員に「この書が欲しい」とひと言。
 「大変申し上げにくいのですが、すでに売却済みと・・・」
 その時の水島さんの驚いた顔が忘れられません。

 いま、この書はわたしの仕事場(書斎)の入口に掲げられています(そのほかにも、著者の書は四つ掲げています)。

 で、本書です。
 瞑想法。
 著者は瞑想でも日本一でしょう。独自に開発した瞑想法はものすごいパワーほ秘めていると思います。
 その具体的なやり方を図解して説明してくれています。

 瞑想のことを「メディテーション」と英語では言いますが、ヒンズー語、サンスクリット語では「ジェーン」とか「ジャーナ」と表現します。
 これが中国を経由し、日本に入ってきた時、「ゼン」、すなわち、「禅」となったのです。
 禅とは瞑想することなのです。

 よく雑念を放棄する、集中する。そうしなければ、瞑想などできないといいますが、まっ、実際ではなかなかできないことだと思います。
 雑念などあって当たり前。ですから、雑念を取り去ろうなどと意識する必要はないのです。この意識することがすでに瞑想の邪魔をしてしまうわけです。
 力みを取り、心身を解放する。周囲の自然と一体になっていくことです。リラックスすると自分が無になります。
 すると、心が空っぽになります。「空」の状態になるというわけです。
 もうこの状態になれば、すでに瞑想していることになります。
 250円高。
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3 「船井幸雄のツキを呼ぶコツ」
 赤池キョウコ著 グラフ社 1050円

 船井理論と実践のマンガ版といったところでしょうか。船井さんの新しい試みとしては、成功でしょうね。
 グラフ社の社長の娘さんが編集を担当して作った本、らしいですね(船井さんがそう言っていたもの)。

 さて、ツキってどうすれば呼び込めるんでしょうねぇ。
 船井さんに言わせると、次のポイント。
 1我欲を減らす。
 2ニコニコ笑って生きる。
 3人の悪口や批判をしないで誉める。
 4与え好きになる。

 なによりも、ツイている人とつき合う、ということが大切だそうですよ。

 では、どんな人がツイているかどうか。それを見破るチェックポイントがこれまたあるそうです。
 1プラス発想型人間
 2すなお肯定人間
 3勉強好き、挑戦好き、やる気人間
 4謙虚な笑顔人間
 5長所進展型人間
 6自助型人間
 7辛抱、執念型人間
 8着実、バランス安定型人間
 9強気、負けん気、思いやり人間
 10秩序維持型自由人
 とのこと。

 これらのポイントの具体例をマンガ家の著者が船井さんに聞きまくっています。だから、読みやすい。

 わたしが読んだか?
 はい、読みました。けど、船井さんとの共著を10冊も出してますから、すべて知ってることばかりです。
 けど、知ってることとできているかどうかは別問題ですからね。いい勉強になりました。
 250円高。
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