2004年08月23日「どん底からの成功法則」「稼ぐが勝ち」「Good Luck」
1 「どん底からの成功法則」
堀之内九一郎著 1365円 サンマーク出版
日本テレビ系の「マネーの虎」でお馴染みの経営者ですね。
生活創庫というリサイクル会社をチェーン展開してます。
「どん底」ってなんでしょうかねぇ。
あなた、どん底に落っこちた経験ありますか?
奈落の底って言葉がありますね。どん底のどん底。底がない。とことん落ちていく。落ちても落ちてもまだ落ちる。それが奈落です。
どん底は奈落とはちょっと違う。どん詰まりだけど、もうここからは落ちないという安心感もあります。
だから、どん底ってしんどいけど、わたしはある意味で温かいものだと思っています。
「それはどん底を経験してないからだろ?」
そうかもしれません。けど、どん底で苦しむのは二次災害じゃないですか。もう落ち切っちゃってるだから、あとは浮き上がるだけ。そう思えれば、どん底が「起点」へと変わります。
いつでも0に戻れる人って強いですね。0以下からスタートしてるひとなら、マイナスだった平気でしょ。これは精神的にタフです。
どん底は常識が通用する世界ではありません。これは著者の意見です。道理によって支配される世界でもありません。
16年前、彼はまさに人生のどん底にいました。事業を興しては倒産を繰り返し、借金の取り立てに追われ、逃げ出すように故郷を出て、上京するつもりが電車賃が尽きてしまい、浜松に降り立つ・・・。
万策尽きて、ホームレス生活へ。
ホームレス作家という本があったけど、この人はホームレス社長。
ホームレス仲間を利用して、一儲けしようとたくらみます。仕事も指導します。
けど、彼らは覚えようとしない。商売を覚えることは彼らのためにもなる、そう信じていました。
ある時、彼らの中の一人からこんなことを言われます。
「頭悪いからむずかしいことはわかんねぇけどよ、商売っちゅうものは、金儲けのためにやるもんなのかい? こんなふうに毎日もしょぅばいしてて楽しいかい? オレ、面白くねぇ。これなら、毎日、ゴミ拾ってるほうがましだわ。」
成功論を読むと、このホームレスと同じような話が出てきます。けど、彼はそんなことは甘い甘いと考えてました。
きれい事だとね。
でも、彼にとってショックだったのは、ホームレス仲間から同じことを言われたことですね。
頭にガツンと一撃。目からウロコ。
出すモノは鼻血でも嫌、それが著者のスタンスでした。
電気代にしても払おうとおもえば払える。しかし、払っちゃうと、商売の元手がなくなる。
そこで知恵を絞ります。電気を止められるギリギリまで踏ん張る。係の人に叱られれば謝る。
「ごめんなさい。明日、払います」
「明後日には必ず」
「10日に払うから一カ月待ってくださいませんか」
心の中で手を合わせて、運転資金を生みだしては商売に賭けるわけです。
これって、ルール違反だよね。でも、どん底ではこういう理に合わないこともたくさん出てきます。
自分の金で商売してる経営者はみなこうだと思いますよ。真剣勝負だもの。
著者の夢は「生活創庫」という会社を人口10万人に1店舗という割合で出店させること。すなわち、1387店舗まで増やすことです。
いま現在、200店舗を超えた段階ですね。
まだ夢にはほど遠い数字ですけど、これ、できない数字じゃありませんよ。
一店舗の力を充実させていく。その中で倍の400店舗はすぐできると思います。もし、そこまでいけば、チェーン店の中で儲かってるところ、力のあるところには二店舗、三店舗と展開させればいいわけです。すると、400、800、1600と倍々ゲームで拡大していくことも夢ではありません。
目標に向かって、どんなに効率が悪く小さくとも、まずその一歩を踏み出しはじめられる人は、結果として怖ろしいほど効率のいいやり方で目標を達成することになります」
200円高。
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2 「稼ぐが勝ち」
堀江貴文著 1260円 光文社
一挙にメジャーになっちゃいましたね、この人。例の近鉄買収に名乗りを上げた経営者です。
「ボクは短期間で会社を立ち上げ、三十歳で百億円稼ぎ出しましたが、こういう世界のビジネスチャンスは旧態依然のオヤジ世代にはつかむことはできません」
いま、この会社、ライブドアは9月度の決算で250億円以上の売上を達成する見込み。
この会社、なにをやってるのか知らなかったんですが、七つのビジネスを展開してるんですね。
1ネットメディア事業
早い話がポータルサイトですね。ヤフーを抜くことが目標とのこと。
2ソフトウエア事業
基本OSのリンドウズ、ウェブプラウザのオペラ、メールソフトのユードラなどがそう。
3イーコマース事業
4イーファイナンス事業
5コンサルティング事業
6ネットワーク・ソリューション事業
7モバイル・ソリューション事業
ですね。
といっても、本書は経営論の匂いはあまりしません。どちらかというと、著者の発想の根源にあるものをいろんな角度から露出したという感じ。
去年出した「百億稼ぐ仕事術」(本サイトでも紹介しましたよ)よりも気楽に書いてます。もちろん、終わりの数ページでは、ナベツネさんはじめ、旧態依然としたオヤジ世代のプロ野球経営者に怒りをぶつけてます。
わかるなぁ、その気持ち。
「自分に自信がある人ほど、自分だけでなんとかうまくやろうとするものです。しかし、それは無駄が多い」
「大学」では、一カ月間はキャンパスで人脈作りに集中する。研究室に入って教授に名前を覚えてもらう。地元の金持ちの子息とも友だちになる。そしてね、スパッと大学をやめて起業するのが、お金持ちになる最短の道だと思う」
「あいつ、大学やめて何やってるんだろう?」と噂が立った頃に、実はこれをやっていると名刺をもってキャンパスに戻ればいい、ってわけ。
ビル・ゲイツはハーバードを二十歳の時にやめてます。そして、起業してしまいました。
会社を成功させるには、体力とスピードが勝負だもの。だから、早い中に事業をたちあげるべきだ、とのこと。
「失敗しないと学べない人は凡人。似たような失敗は山とある。他人から一歩抜け出すには、常に先人の知恵から学ばなければならない」
180円高。
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3 「Good Luck」
アレックス・ロビラ著 ポプラ社 952円
お台場のブックファーストでセールスキャンペーンしてたんで、思わず、買っちゃった。
これ、共著です。もう一人の著者はフェルナンド・トリアス・デ・ベス。
どちらもMBAホルダーのマーケター。
つまり、ビジネスを成功に導くための考え方を一つの物語で表現した本ってとこでしょうか。
タイトルがグッドラックといっても、別にキムタクが出てくるわけじゃないんです。
公園のベンチで偶然(ホントは必然!)、54年ぶりに出会ったジムとマックス。2人は親友同士でした。
しかし、歳月が人を変えます。上品な身なりのマックス。仕事も財産も、すべてを失ってすっかり老人へと変わり果てたジム。
10歳の時に別れてから、2人は別々の道を歩みます。
「あの後、すぐに働きはじめたんだ。貧乏だったからね。なんでもやった」とマックス。
「そうか、それは大変だったね」とジム。
「でも、22歳で経営者側に回ってからは、どんどんうまくいくようになったんだ!」
「へぇ!」
「レストランやホテルで仕事をしている間に、金持ちがどんなカバンを持ちたがるか嫌やというほど見てきたからね。流行の先を読むようにしたら、毎年、ヒット商品を出せるようになった。あとはチェーンを一つ増やし、三つ増やし、いまじゃ二十カ所の工場と二千人の従業員を持つことができるようになった、というわけさ」
「ボクも君みたいに運があったらなぁ」
「運と幸運とはまったく別物なんだ」
「?」
マックスはジムに諭すように、「幸運を手にする七日間の物語」を話して聞かせます。
これは彼の祖父が教えてくれた成功物語なのです。
徳の高い魔術師マーリンは国中の騎士を集めます。
「今日から7日目の朝、魔法のクローバーが生える。手にした者に愛、仕事、富、すべての面で限りなき幸福をもたらしてくれる」
「ここから12の丘を越えた魅惑の森に生える。森のどこに生えているかはわからない。そなたたちに、この魔法のクローバーを探しにいってもらいたい。だれか力を示したい者はおらぬか?」
たった2人だけが立候補します。
黒マントのノットと白マントのシドの2人です。
さて、魅惑の森を目指して馬を走らせるシドとノット。
2人は情報収集しながら、魔法のクローバーを探そうとします。大地の王、湖の女王、木々の女王、石の母、そして魔女に次々に会いに行きます。
そこで、言われたのは・・・
「この森にクローバーなど生えぬ!」
「おまえは騙されている!」
「マーリンを殺せ!」
ノットはいきなりやる気を失ってしまいます。
シドはどうしたか?
森の中で探すのではなく、自らクローバーを生やそうと考えます。
「クローバーはどこに生えているか?」とは聞きません。
「どうしたらクローバーを生やすことができるのか? なにがすればいいのか?」と聞くのです。
この違いが成否を分けます。
他人から幸運をもたらしてもらおうとする人、自ら幸運をつかみ取ろうとする人。人生いろいろです。
運は呼び込むことも引き留めることもできない。
幸運は、自らの手で創り出せば、永遠に尽きることはない。
200円高。
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