2006年07月10日「雪之丞変化」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

 ♪ながぁす涙ぁがぁ お芝居ぃならぁば♪
 名曲「むらさき小唄」ね。これ、映画の主題歌なのね。乙な唄ですぜ。

 しかし、それにしても脚本が抜群でんな。さすがに松竹、大映、東映とリメイクされてきた理由がわかったね。ミステリーというか、復讐劇なんだよ。
 「Mの悲劇」「復讐するはわれにあり」「犬神家の一族」もびっくり。


市川崑監督の傑作。

 主人公雪之丞は歌舞伎の女形。関西で名を馳せ、江戸に出てきたわけ。
 その美貌に男も女もクーラクラ。
 けどね、この人には過去があるんだよ。まっ、だれにだってあんだけど。
 父親は長崎で土部三斎という男の陰謀に巻き込まれて狂死。母親も自殺。身寄りを亡くした雪之丞は師匠中村菊之丞に引き取られ、歌舞伎と剣術を教えこまれます。
 で、役者として生きながら常に仇討ちを狙ってるわけ。

 ある時、江戸で舞台を踏んでる時、仇たちが観劇に来たことを知ります。そこからは鬼になって仇の娘(若尾文子がきれいなの)の心も奪い、復讐を果たしていきます。劇中、商人同士の欲の突っ張りあい、権謀術数、裏切り、殺人。協力者の出現。色と欲が絡んで濃密なドラマが展開していきます。

 主役は最初から終わりまで「女形」。長谷川一夫の1人3役。雪之丞、闇太郎、雪之丞の母の3役ね。
 彼の300本目の記念作品になってます。
 配役がおもしろいね。市川雷蔵と山本富士子に三枚目をやらせ、その他、若尾文子、勝新太郎、船越英二、中村雁治郎といった錚々たるキャスト。
 現代劇に換えても、十分にいけるね。

 さて、ワールドカップ。フランスとイタリア、どっちが勝つだろう? あと5時間で勝負はつくけど、戦力的にはイタリアのほうに分があるね。