2004年02月23日「金持学」「普通の人がこうして億万長者になった」「元気が出てくる いい話」
1 「金持学」
関口房朗著 宝島社 1300円
3月からメルマガを発行します。
どんなメニューにするかというと、わたしが最近会った人の中で「これは面白い!」と思った経営者の紹介、その人のビジネスの極意や裏話、それからこの「通勤快読」で紹介できなかったけど、毎週、読んでる中から、「これ、いいよ!」という本の紹介などです。
とにかく、ホームページと違ってクローズド情報だけに、「ここだけの話」に特化してお届けしたいと思います。
「内緒だよ」「あなたにしか教えない」というとびっきり高感度の情報をプレゼントしますから、お楽しみに。
この本、かなりお勧めです。
著者はテレビ、雑誌の露出度も高く、とかく世の中を騒がせている人物です。
自分が起業したメイテックという会社をクーデターで解任されて追い出され、今度はベンチャーセーフネットという会社を起業。ディスコ入社式、フランスワールドカップへの学生千二百人無料招待、闘牛式入社式なども仕掛けました。
六本木ヒルズに住み、フサイチコンコルドで日本ダービーを征したかと思うと、今度はフサイチペガサスで世界中の名馬が集まるケンッタキー・ダービーを征し、あのド派手なパフォーマンスで有名な人です。
一見、成金のように見えますが、かなり戦略的に行動している人です。関西人だから、テレビでの役回りをよく理解して動ける頭のシャープな人ですね。
本書を読んで、感心してしまいました。
景気が悪くて、心の状態も縮小均衡になりがちな日本人ですが、本書で少しは刺激を受けるかもしれません。
「夢や目標を伴わない節約など、何の意味もない!」
「お金への欲望をタブー視してはいけない」
「オレを見て、あんな金持ちになりたいと憧れるのも結構、あんな無駄遣い許せないと反面教師にしても結構!」
「自分は成功者だとは思っていない。これは謙遜ではない。そんな面倒くさいことするかいな」
「世の中、お金じゃないなんてことは、長者番付に載ってから言え」
「使ってこそ金、稼いでこそ男」というのは、けだし、名言です。
「関口流・成功する男の七箇条」なるものがあります。
それは次のようなものです。
1セックスアピールを持て!
これは「オーラ」ということです。フェロモンもこのオーラから出るとか。
2昆虫人間になるな!
3自己投資を惜しむな!
4基礎を積み上げろ!
5常に三年先を読め!
6自己アピール力を磨け!
7夢とロマンを持て!
逆に、「失敗する男の三箇条」もあります。
1金に執着しない男
2人を大切にしない男
3失敗を知識化できない男
この人、六本木ヒルズの販売を発表した時、すぐに秘書に命じて、「いますぐ押さえろ!」と叫んだとか。しかも、ぶち抜きにするように交渉したとか。断られたんですが、それを聞いた森ビルの社長が、「関口さんならいい」ということで、希望通りになります。
それから三年後、秘書がどうしてすぐに押さえろといったかを理解します。
森ビルが総力を挙げて作った一大文化プロジェクトです。これはニュースにならないわけがありません。
その時、いちばん目立つ部屋をぶち抜きで使ってる人間がいたら、必ず取材される。取材されれば、会社の宣伝になる。
事実、その通りになります。
「宣伝費用と考えれば、月数百万円の家賃などタダのようなものだ」
これまでいろんな番組にゲスト出演してますから、もう元を取ってるんですね。
いい加減な判断ではなかったのです。
この人が創業したメイテックという会社には思い出があります。
というのも、昔、法人営業を担当していた時に、この会社を開拓したことがありました。当時、まだ雑居ビルの二階に本社がありましたね。で、人事部長に会って、話をいろいろして、得意先になってもらったんです。
新しい会社ですから、教育、研修などのノウハウも資料もない。で、わたしがいろいろ集めて差し上げたことがあります。
まだ、名護屋技術センターといってた頃の話ですね。
この会社は設計技術者を派遣するアウトソーシングの先駆けでした。毎月一回だけ、本社に集まる。けど、普段は派遣先の会社に直接、いくわけですよ。
「それでロイヤリティとかたもてるんですか?」と質問したことを覚えてます。「技術者として優秀なら、先方の企業にスカウトされるのでは?」とも聞きました。
けど、それからどんどん成長していき、とうとう、上場してしまいましたものね。
関口さんは、倒産を二回経験しています。どん底にあった時、ふと、ビルを見上げるとそこには灯りが煌々と輝いているわけ。
忙しく、設計をやってるんですね。
「なら、うちで設計してあげます」
「いや、設計の図面は重大なマル秘事項ですよ。外部になんか発注できません」
これを聞いて、ならばね、「社員を派遣してあげますよ」
閃きは平素の情報収集と、それを汲み上げていく論理展開能力がポイントですね。
で、上場企業の技術部長に軒並みダイレクトメールを出したところ、「説明に来てくれ」というオファーがたくさん来たんです。
あとはクーデターまで、順風満帆。
このクーデターにしても、銀行が仕組んだことらしいね。メインの金融機関を換えようとか、メインの幹事証券会社を換えようとか考えていたのが、銀行出身の役員に洩れて、とうとう、クーデターですよ。
しかし、めげない。かえって発憤して頑張ってしまうわけ。起業家のエネルギーというのはそこにありますよね。
馬主としても金にあかせて名馬を飼いまくってきた人ではありません。日本ダービー、ケンタッキーダービーの制覇にしても、16年もかかってるんですね。投資した時間と金は莫大なものがあります。
これについては、ドラマチックにまとめられてますから、続きは本を読んでください。
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2 「普通の人がこうして億万長者になった」
本田健著 講談社 1500円
著者は「ユダヤ人大富豪の教え」などの著者として知られる人ですね。小金持ちブームの先駆けとなった人じゃないかな。
本書はそんな彼がデータをかき集めてまとめた一冊です。
億万長者といっても、だれがそうなのか日本には資料がありません。となると、毎年、公示される高額納税者。この人たちは年収三千万円以上といったレベルですけど、まっ、億万長者もたくさんいるでしょう。
国税庁のデータ(平成十四年度)によれば、日本で所得税を納めている人は約六千万人、そのうち、年収二千五百万円を超える金額を稼いでいる人はたったの〇・五六パーセントしかいないそうです(約三十三万人)。つまり、千人に六人が億万長者ということになります。
で、高額納税者のリストを入手して、ダイレクトメールを発送することを思いつきます。2002年の高額納税者のうち、一万二千人にアンケート用紙を送ったところ、一千名から回答を得た。
同時に、わたしのような普通の人たちにもアンケート用紙を送り、億万長者とそうでない人との違いや共通点を明らかにしよう、としたわけです。
たぶん、調査しなくてもそんなものだろうという結果でした。しかし、この調査の意義は、わかっていること、だれもが感じていることをきちんとデータで検証した点にあります。
また、実際に寄せられた回答をそのまま掲載してますから、それを読めば、億万長者の考え方、行動パターンなどがある程度、つかめるのではないかなぁ。
調べてみると、一口に億万長者といっても、いろんなタイプがあることに気づいたそうです。
1ビジネスオーナータイプ
十人中三人の確率でいます。ただし、「自分の大好きな仕事をすること」に意識している人。「大好きなビジネスを大きくすること」を意識する人に分れます。
2専門家タイプ
十人中二〜三人います。
3会社役員タイプ
十人中二〜三人います。
4相続タイプ
十人中二人います。
5不動産タイプ
十人中二人います。
6アーティスト、スポーツ選手タイプ
百人中一人(アンケートの回答がほとんどなかったため)
トータルすると「十人中」といいながら十人を超えてしまいます。理由は、まっ、この中には重なっている人が何人もいるからですね。
億万長者に共通する特長は以下の通り。
1好きなこと、得意なこと、喜ばせることを仕事にすること。
2誠実なこと、健康なこと。
3運がいいこと。
4危機を乗り越える力があること。
5人に応援されること。
6メンターがいること。
7パートナーといい関係を持っていること。
8子どもの教育を独特に考えていること。
9長期的な視野を持つこと。
10切断を上手にすること。
本書は世のものではありません。データとその解析、解説です。いずれ、このデータ参考にして、また何か発表されるのではないでしょうか。
そっちのほうを楽しみにしたいですね。
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3 「元気が出てくる いい話」
志賀内泰弘著 グラフ社 1200円
ある時は名古屋在住の団体職員、ある時は人脈作りの達人でいろんな活動に首を突っ込み、ある時はたしかCDも出してたんじゃないかなぁという人で・・・はたしてその実体はというと、ただのしがないサラリーマン(本人曰く)。
だから、名前も「志賀内(しがない)」さん。もちろん、これ、ペンネームです。
昔々、ボンボヌールというお菓子屋さん(例の「景気快復ケーキ」というケーキをプロデュースした会社)の社長である近藤さんが、わたしを勉強会の講師として名古屋に呼んでくれた時に知り合いました。以来、著者は「自分新聞」を紙つぶてのごとく、毎月、送ってくれるのです。
さて、本書はそんなユニークで人間好きな彼が、「あぁ、いい話聞いちゃった」「こんな本にこんなエピソードがあったよ」といういい話をまとめたものです。
なかなか感度がいいんだな、これが。
「すべてのことは繋がっている」ってとこでは、「いま、どうしてこの人と会ったのかな」と感慨深いことがよくありますよね。
たとえば、著者にも許せないと思う人が一人いるそうです。自分がいちばん困ってる時に助けてくれなかったそうです。けど、今回の本が出せるきっかけをずっと深く考えている中にあることに気づきます。
それは、著者のいまあるすべての出発点がこの人からはじまっていた、ということです。
この現実に気づいた時、著者は愕然とし、また心の底から感謝しなければ・・・と悟ったんですね。
人間はまだまだ不完全な生き物ですから、きっとこんな小さな悟り、大きな悟りをしながら生きていくのでしょう。
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