2004年02月09日「ナンバーワン企業の法則」「リクルート流 仕事ができる人の原理原則」「ベスト・パートナーになるために」

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」


1 「ナンバーワン企業の法則」
 M・トレーシー著 日本経済新聞社 695円

 いま最高の売れ筋商品を犠牲にして、まだマーケットでテストもしてない新商品に切り替える勇気がありますか?
 永続的な取引関係を構築するために、損を覚悟で新サービスを提供する気があります?
 コストの一層の削減をめざして、宿敵とも手を結ぶ気は?

 成功するには、その企業だけが、ある選ばれたマーケットに提供できる独特の価値を発見しなくてはならないのです。

 著者はまる3年間もの間、マーケット・リーダーと呼ばれる企業80社を調査し、そして共通する強さの秘密を解き明かしました。
 とくに、ケーススタディとして取り上げているのは、ATT・ユニバーサルカード、インテル、エアボーン・エクスブレスなどがあげられます。

 これらの企業には、三つのきわだった価値基準があるといいます。
1オペレーショナル・エクセレンス(経営実務面での卓越性)
2製品のリーダーシップ
3カスタマー・インティマシー(顧客との親密性強化)
 このいずれか、あるいはいくつかが複合されたものだというわけです。

 まず最初の「オペレーショナル・エクセレンス」について説明しましょう。
 これを信奉する企業は製品面、サービス業の革新者として目立ているわけではありません。顧客との一対一の深い関係を作り上げているわけでもありません。平均的な製品を最良の価格で、もっとも面倒がかからない形で提供するということを必死にやっているわけです。
 たとえば、ウォルマートのやり方は飾り物一切なしの大量小売り方式で、この種の企業の典型です。
 この価値理念の掲示は、きわめて単純、低価格と面倒のいらないサービスにつきます。

 第二の価値基準はどうか。
 これは性能の限界をとことんまで追求するものです。とにかくいい製品をマーケットに提供したい。あるのはこれだけ。
 価格面での競争ではなく、少しでもいい製品を作ろう、開発しようという競争なのです。

 第三の価値基準は、マーケットが欲しがるものではなく、特定の顧客が欲しいものの提供に焦点を当てるものです。こういう企業は顧客との一回こっきりの取引ではなく、何回もの取引をめざしています。早い話が、顧客とのリレーションシップ構築を第一義に考えているわけです。
 独特のニーズを感知するのは、顧客と親密な関係を保ち、顧客のことをよく知っているわが社だけ。
 「われわれがお客様に最良の解決策を用意しています」というわけです。
 カスタマー・インティマシー企業は顧客の生涯価値を重視するのであって、二〜三回の取引による損得だけを考えるのではない。従業員はそれぞれの顧客が本当に求めているものを正確、確実に手に入れることに万全を期しています。
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2 「リクルート流 仕事ができる人の原理原則」
 中尾隆一郎著 全日出版 1600円

 リクルート関係者の本がたくさん出てますね。それだけ優秀な会社だし、優秀な社員も多いということですな。
 本書は社内外の人たちと15年間、交流してきて、勉強した仕事術、仕事の原理原則をまとめた本ですね。
 
 著者は阪大工学部出身の技術屋さん。
 「営業だけは勘弁してください」と言ったのに、半年たったら、営業の現場へ。けど、どういうわけか、抜群の成績を残します。
 努力もするし、なにより、原理原則をつかむ能力があったんでしょうな。でなければ、すぐに効果、成果を出すことはなかなかできません。

 いま、著者は全社統括のエグゼクティブプランナーとして活躍してますが、営業職のあとはリクルートの頭脳部分を担当してきたと言っても過言ではないかもしれません。

 「仕事ができる人、ビジネス界で成功した人には共通点があります」
 
 たとえば、「優先順位」といったとき、手帳にああだ、こうだ書き留めて仕事する人がいますが、ぜんぜん成果があがらない。こういう人は実は順番だけを記しているだけで、優先順位などてんでできてないんです。
 では、仕事ができる人はどうしているか?
 「やらないことを決める」というのです。やらない仕事、やってはいけない仕事は最初からやらない。
 そうするためには、「方針」がなければできませんね。
 たとえば、わたしの場合だとどうなるか?
 二つのリトマス試験紙があります。
 一つは相手と波長が合うかどうか。
 二つ目は「儲かるか」「勉強になるか」のいずれか。
 実は来月、学生さんから頼まれて、「ホントにやりたいこと、見つかった?」という講演会と学生参加のシンポジウムをやります。これは内定、あるいはこれから就職活動をする人たちを相手にしたかなり大きなイベントですが、これ、講演料、タダです。なぜなら、「勉強」という認識でつき合うからです。
 逆に、某金融機関から講演依頼がありましたけど、この場合、ギャラは規定の5割増にさせてもらいました。これはビジネスだからです。
 
 著者は通信技術、営業、マーケティング、広報、事業企画、調査、経営企画など、いろんな部署を経験しています。そのたびに、キャリアアップしてきたんでしょうな。本書にも、これらの部門で勉強したノウハウが整理されています。
 会社というのは、勉強しようと熱意のある人間にとって最高の道場ですね。それがよくわかる好著。
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3 「ベスト・パートナーになるために」
 ジョン・グレイ著 三笠書房 533円

 男の勘違いについて勉強できる好著。
 よくいるんだ、こんなタイプ。女性から相談されると本気になって考える人。
 どうしてかね。人がいいんです。優しいんです。懸命に考えて、いろいろアドバイスしてるわけ。
 「新しい彼氏とつき合っていく自信がない? 結婚申し込まれてるけど、踏み出せない?」
 「そう、ならばこんな風に考えたらどうかなぁ・・・」
 懸命に話してるわけ。わたしゃ、隣に聞いてて吹き出したくなるんです。周囲の女性陣はというと、これが一様にふんふん、と聞いてるだけ。
 
 彼女がトイレに立った時、彼にひと言。
 「好きなだけ話させとけばいいんだよ。君がアドバイスしてどうなるの」
 「だって、困ってるじゃないですか?」
 「困ってる自分を演じてるだけ。考えても見ろ。好きな男とつき合ってる女が本当に悩むか? 結婚申し込まれて困るか?」
 「・・・そうですね」
 
 だから、女性はややこしい。相談をもちかけられても、「正解」を出す必要は半分もないでしょう。
 ただ聞いてあげるだけでいいのでは?

 この本の原題は「男は火星から、女は金星から来た」だって。そもそも男女は違った生物なんだと、これはかなりセンセーショナルな話題をまきました。
 こんな会話、あなたも経験があるのではないでしょうか。
女性「あまりにもやらなきゃならないことが多すぎて、自分の時間が少しも持てないわ」
男性「それなら、今の会社を辞めていいんじゃないか。何もそんなに一生懸命やることはないさ。もっと楽な会社がいくらでもあるさ」
女性「何言ってんのよ。わたしは仕事が好きなのよ。あなたは何もわかってないのね!」
男性「・・・」
 
 男性なら絶句、というところでしょう。
 ここで重要なのは、女性は答が欲しくて話しているわけではない、ということです。いわゆる愚痴を言いたい、話すことによって発散させたいということなんです。
 これに対して、男性は答を出そうとして話をしています。決して話しすぎているわけではないのですが、問題解決を自分でしたがっているわけです。これは女性の求めるところではありません。だから、話が噛み合わなくなってしまうわけですね。
 では、どうすればいいかというと、男性は聞くに徹するばいいわけですよ。

女性「あまりにもやらなきゃならないことが多すぎて、自分の時間が少しも持てないわ」
男性「そうか。それは大変だね」
女性「みんな何でもわたしに頼むんだから。わたしだって体は一つしかないのよ。もう腹が立ってしょうがないわ」
男性「うんうん」
女性「でも、何だかんだいってわたしは仕事が好きなのよ。頼られてるなら頑張るしかないわよね。もうひとふんばりやってみるわ」
男性「そうだよ。その意気だよ。応援してるから、こっちへおいで」
ナレーション「こうして二人の夜は過ぎていくのだった・・・」

 これがジョン・グレイ流の男女がうまくいく会話術です。
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