2006年08月28日「陰日向に咲く」 劇団ひとり著 幻冬舎 1470円 

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」

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 もう1つ、今日から毎日新聞Webサイトで「中島孝志の おとなの仕事相談室」をオープン! 笑ってる中に目から鱗が落ちるはず。


 さて、賛否両論あるようですけど、まっ、楽しめばいいんじゃない。小説なんて作りものなんだからさ・・・なんつったら、ダメか。
 でも、私はさらっと楽しめましたよ。

 5篇からなる短編小説なんだけど、それぞれのお話が微妙に絡んでいて、気づくと一本の長編小説を読んでた、みたいな。短距離を走るつもりが、いつの間にかマラソンになっていて、気づくと駅伝だったみたいな、そんな感じ?

「道草」は、ホームレスに憧れて夢を叶えるサラリーマンのお話。
「拝啓、僕のアイドル様」は、アキバ系オタクのお話。
「ピンボケな私」は、簡単に身体を弄ばれちゃう女子高生のお話。
「Over run」はギャンブル漬け多重債務者による振り込め詐欺のお話。
「鳴き砂を歩く犬」は、売れないお笑い芸人(本人か?)のお話。

 それぞれに「オチ」をつけちゃう。これって、芸人の業かな。「もうやめなさい」「やってられるか」で終わりにする関西系漫才師とはそこがちゃうのかも。

 劇団ひとりって、むかし、「たけしのお笑い甲子園」に出てたよね。コンビで出場して準優勝。相方がプロになりたくなくて1人になっちゃって、その後、スープレックスを結成したもののやっぱ解散。

 最初出てきた時、絶対、こいつは中国人だと思ってた。次長課長の河本より中国系をやらせるとうまい。
 「おめぇに喰わせるタンメンはねぇ」
 ひとりさんのほうが上手いんじゃないの。

 「嫌われ松子の一生」では、中谷美紀さんと共演(キスしてたし)、TVじゃ「電車男」でプチブレイクするし、この分野もお笑い芸人に席巻されますな。
 いま、テレビに出てるタレントってろくなのいないもの。なんか芸、あんのかな、才能は?ってタイプ、少なくないもの。事務所の力とプロデューサーへのヨイショ、それと満面の笑みだけで渡ってきたタレントが多いものね。
 
 つべこべ言わなくても、才能1本でわが道を切り開いていく芸人は偉い。
 この分野、今後爆発しますよ。この分野というのは、お笑い芸人の活躍するフィールドという意味だよ。
 北野武さんから氷山の一角でチラホラ出てたんだけど、洋七さんの「がばいばぁちゃん」とかリリーさんあたりから、お笑い芸人の「含み資産」に気づいてきたわけさ。小説というのは、その1つに過ぎないの。
 まだまだ、金鉱脈はあると思うよ。

 この小説は映画にしたって佳品にはなるよね。ものすごく映像的な作品だもの。NHKあたりが銀河ドラマでやったら面白いよ。200円高。