2008年06月29日「るにん」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

 これ、やばいよやばいよやばいよ(出川哲朗か?)。今年ももう半年が過ぎる頃だけどさ。いちばんええんちゃう?

 昨日いったとおり、この2日間、自分へのご褒美として「どっぷりDVDタイム」をプレゼントしたのね。
 赤木圭一郎シリーズから始まって、「ハワーズ・エンド」「プライドと偏見」「イカとクジラ」「スモーク」「ビリー・エリオット(リトル・ダンサー)」「ヒストリー・オブ・バイオレンス」・・・などなど、いままでほったらかしてたの片っ端から観てるわけ。

 で、これ、大当たり。「ハワーズ・・・」なんてあまりのつまらなさに早送りして観てたのね。でも、これ、アカデミー賞3部門受賞でしょ。「るにん」に1つ回してやれちゅう感じやね。ま、エマ・トンプソン好きだからええんやけど。

「るにん」ちゅう映画は4年前に制作されてんのね。たぶん、その頃かなあ、監督の奥田瑛二さんの自伝読んでたんだ。たしか「ダンディズム」とかいうタイトルやったかな。

 で、この中で、「映画を何本か撮ったんだ。まだ上映してくれるとこないんだけど、そのうち、きっと、まともな映画が求められる時代が来るから、急いで上映しなくてもいいや・・・」て強気な発言してたのよ。

 たしかに、映画界ってホントお蔵入りが多いからね。お金さえ集まれば映画は撮れるよ。けど、映画館で上映すんのが大変なのよ。
 配給側はやっぱ、「これは儲かる!」ちゅう映画しかかけたくないじゃん。
「保証料寄こせ」なんてせこいこという映画館主は少なくないからね。まっ映画館もビジネスでやってるわけで、「文化の担い手です」なんて気持ちはもはやないと思うんだけど、それにしても失敗作が多いからね、ついつい貧すれば鈍する、寄らばメジャーの陰・・・を選ぶわな。

 俳優の人ってのも、やっぱ役者より監督とかプロデューサーやりたいってケース少なくないじゃん? いちいちああしろ、こうしろと動かされるより、動かしたいという欲望があるもんなあ、人間はさ。

 けど、自分の力量を知らんとな。演じることと演じさせることは違うし、監督という仕事、プロデューサーという仕事は、これまた、俳優業とは違うけんね。
 でだ、自信満々の奥田さんもそんな「監督やりたい症候群」の病気にかかったな、と思ってたの。少しだけど。まだ映画を観てもないのにさ。

 いま、徹底的に反省してます。結論です、この映画、ものすごくいいです。奥田監督、ごめんなさい。

 監督兼プロデューサーの奥田さん凄いっす。この原作を撮ろうという感性が凄いっすよ。で、脚本の成島出さん最高っす。
 ヒロイン豊菊の松坂慶子さんさすがっす。新人つうか、バレエの世界では超メジャーなんだけど、相手役喜三郎を演じた西島千博さん、ほんまにええ役者顔してまんなあ。スクリーンに映える顔してまんねん。

 ほかに、脇を島田雅彦、玄海竜二、根津甚八などの各氏が固め、それに監督自ら出演してんだけどね。音楽三枝成彰さん、衣裳鳥居ユキさんと、これまた人脈でなんとか協力してもらったな、こりゃ、というにおいがプンプン。


「ある愛の詩」やね、これは。無償の愛やね。愛とはけっして後悔しないこと・・・ってか。

 さてと、江戸末期。鳥も通わぬ八丈島。男女を問わずありとあらゆるアウトローが流された島。「島流し」「遠島」といえばここだもの。
 佐渡金山みたいにいろいろと苦役があるのかと思ったら、そうじないのね。「当人勝手次第に渡世すべきこと」ちゅうだけ。つまり、ろにん(流人)は勝手に食い扶持を探せちゅうわけね。
 
 で、吉原に火を放った元花魁豊菊ができることゆうたら、身体を売ることだけ。ご赦免で江戸に戻れる日を夢見て、島の男たちの慰み者になってるわけ。
 そこに喜三郎が送られてくる。この絶望状態の中で2人は恋に落ちます・・・で、島抜けすんだけど、はたしてどうなることやら?

 原作は団紀彦。徳川270年間で島抜けに成功したのは佐原喜三郎ただ1人。その史実をベースにした作品。ハッピーエンドになるのかどうか・・・まっ、そのへんは観てちょ。

 それにしても、松坂慶子はいい女だねえ。ダイエット10キロしたらしいけど、やっぱ、少しやせたほうがええで。中年なったらやせすぎたらあかんけど、CMでフカキョンと共演してるんやさかい、もちっとダイエットしてもええんとちゃう。ま、よけいなことやけど。