2008年06月30日「東京の俳優」 小田豊二著 集英社 1785円
「おちおち死んでられまへん」「どこかで誰かが見ていてくれる」(福本清三著・集英社)等の聞き書きの第1人者小田さんの新刊です。
ケータイマガジンに連載してた原稿らしいな、こりゃ。
聞き書きっていいね。とってもいい。なぜか? 読みやすいのよ。あとね、「しゃべり下ろし」と比べてもずっといいの。しゃべり下ろしってのは、著者本人のレベル以上のモノは出てきません。けど、聞き書きは書き手のインタビュー技術・知識・教養・そして刺激によって、いくらでも引き出せますからね。
つまり、聞き書きってのはインタビュアーの力量がかなり問われる仕事なのね。
本書もさりげなくいいとこ引き出してまっせ。そりゃ、冒頭ご紹介した2冊、それに「横浜物語」という大傑作に比べたら、まだまだのレベルだと思います。けど、それはこの3冊があまりにも秀一な作品ですねん。本書もええですなあ。
さて、本書の話し相手、つまり、聞き書きの対象は俳優の柄本明さん。
聞き書きの命は「素材」なのよ。まあ、ええんとちゃう。三國蓮太郎さんじゃ重たくて読む気ないし、織田裕二さんじゃ、世代が違うし、ここらへんかな。
演劇論つうか俳優の仕事が面白いね。「プロフェッショナルの仕事」に出演できるんとちゃうか。
俳優は悲しい性で、人に見られていると思うと、つい何かをやってしまう。そこでまた、芝居そのものをわかりにくくしてしまう。
たしかに。
元々、この人、都内の工業高校卒業して精密機械メーカーの営業マンしてたのね。で、仕事帰りに知り合いと待ち合わせして、連れて行かれたのが早稲田小劇場の芝居。
カルチャーショック。客層がヒッピーみたいなのばかり。柄本さんはスーツにネクタイで1人だけ浮いてるの。で、彼らは演劇論なんか戦わせてて、ぜんぜんわかんないの。
芝居? それがめちゃ面白くてさ、笑った笑った。白石加代子さんも出演してたらしいけどね。
で、会社辞めちゃうわね。別に会社や仕事に愛情なんかなかったもん。
アルバイトに大道具とかやって、いろんなテレビ局。NHKとかでも仕事してたらしいね。
そんなとき、吉田日出子さんと知り合って、自由劇場に入るわけ。
吉田日出子さんの本に書いて餡だけど、柄本さんを引き入れた理由は・・・顔が変だったから。劇団員の間で、あの顔良いよ。変だから存在感がある・・・みたいで評判だったらしい。
「じゃ、あたし、誘ってみる」「ねえ、芝居やろうよ」
本人はスカウトされたみたいな気分だったんじゃないかなあ。
もっとバカらしいことしたい・・・という理由で、劇団を離れます。
「電気亀・団」はパワフルでね。世界の坂本龍一さんも芸大院生で、一緒の舞台に立ったのね。やっぱ、才能が半端じろゃなかったって。
ベンガルと出会って、新宿西口会館のビアホールでバイト。「決闘!割りばし仮面VSスプーンマン」とか、もうはちゃめちゃな芝居。
観客つうか、まあだれも観てないんだけど、だってサラリーマンが団体で宴会してんだよ。だれが芝居なんか観る? この屋上での活動が東京乾電池の旗揚げにつながります。
東京乾電池の芝居は最初は全然ダメ。お客さんはそこそこ入ったけど、「柄本、おまえはそれでいいのか!?」という怒声が観客席からかけられたくらい。
で、落ち込みます。とことん落ち込みます。2作目、3作目・・だんだん良くなる。入りきらないくらい観客が来る。
フジテレビ系「笑ってる場合ですよ!」のレギュラーが大きかったね。
タレントはどの順番でどう売れるかがわかったって。
テレビ出演の前、昭和55〜56年、つかこうへいさんの芝居にも出てるのよ。あの「蒲田行進曲」のヤス役。後に映画で平田満さんが賞を総なめにするあの役ね。
柄本さんが渋谷ジャンジャンでやってた頃は、銀ちゃんは加藤健一さん、小夏は根岸季衣さん。風間杜夫さん? あれはつか劇団解散公演と映画だよ。
まあ、芝居の好きな人は必読かも。小田さんの本はええよ。250円高。
ケータイマガジンに連載してた原稿らしいな、こりゃ。
聞き書きっていいね。とってもいい。なぜか? 読みやすいのよ。あとね、「しゃべり下ろし」と比べてもずっといいの。しゃべり下ろしってのは、著者本人のレベル以上のモノは出てきません。けど、聞き書きは書き手のインタビュー技術・知識・教養・そして刺激によって、いくらでも引き出せますからね。
つまり、聞き書きってのはインタビュアーの力量がかなり問われる仕事なのね。
本書もさりげなくいいとこ引き出してまっせ。そりゃ、冒頭ご紹介した2冊、それに「横浜物語」という大傑作に比べたら、まだまだのレベルだと思います。けど、それはこの3冊があまりにも秀一な作品ですねん。本書もええですなあ。
さて、本書の話し相手、つまり、聞き書きの対象は俳優の柄本明さん。
聞き書きの命は「素材」なのよ。まあ、ええんとちゃう。三國蓮太郎さんじゃ重たくて読む気ないし、織田裕二さんじゃ、世代が違うし、ここらへんかな。
演劇論つうか俳優の仕事が面白いね。「プロフェッショナルの仕事」に出演できるんとちゃうか。
俳優は悲しい性で、人に見られていると思うと、つい何かをやってしまう。そこでまた、芝居そのものをわかりにくくしてしまう。
たしかに。
元々、この人、都内の工業高校卒業して精密機械メーカーの営業マンしてたのね。で、仕事帰りに知り合いと待ち合わせして、連れて行かれたのが早稲田小劇場の芝居。
カルチャーショック。客層がヒッピーみたいなのばかり。柄本さんはスーツにネクタイで1人だけ浮いてるの。で、彼らは演劇論なんか戦わせてて、ぜんぜんわかんないの。
芝居? それがめちゃ面白くてさ、笑った笑った。白石加代子さんも出演してたらしいけどね。
で、会社辞めちゃうわね。別に会社や仕事に愛情なんかなかったもん。
アルバイトに大道具とかやって、いろんなテレビ局。NHKとかでも仕事してたらしいね。
そんなとき、吉田日出子さんと知り合って、自由劇場に入るわけ。
吉田日出子さんの本に書いて餡だけど、柄本さんを引き入れた理由は・・・顔が変だったから。劇団員の間で、あの顔良いよ。変だから存在感がある・・・みたいで評判だったらしい。
「じゃ、あたし、誘ってみる」「ねえ、芝居やろうよ」
本人はスカウトされたみたいな気分だったんじゃないかなあ。
もっとバカらしいことしたい・・・という理由で、劇団を離れます。
「電気亀・団」はパワフルでね。世界の坂本龍一さんも芸大院生で、一緒の舞台に立ったのね。やっぱ、才能が半端じろゃなかったって。
ベンガルと出会って、新宿西口会館のビアホールでバイト。「決闘!割りばし仮面VSスプーンマン」とか、もうはちゃめちゃな芝居。
観客つうか、まあだれも観てないんだけど、だってサラリーマンが団体で宴会してんだよ。だれが芝居なんか観る? この屋上での活動が東京乾電池の旗揚げにつながります。
東京乾電池の芝居は最初は全然ダメ。お客さんはそこそこ入ったけど、「柄本、おまえはそれでいいのか!?」という怒声が観客席からかけられたくらい。
で、落ち込みます。とことん落ち込みます。2作目、3作目・・だんだん良くなる。入りきらないくらい観客が来る。
フジテレビ系「笑ってる場合ですよ!」のレギュラーが大きかったね。
タレントはどの順番でどう売れるかがわかったって。
テレビ出演の前、昭和55〜56年、つかこうへいさんの芝居にも出てるのよ。あの「蒲田行進曲」のヤス役。後に映画で平田満さんが賞を総なめにするあの役ね。
柄本さんが渋谷ジャンジャンでやってた頃は、銀ちゃんは加藤健一さん、小夏は根岸季衣さん。風間杜夫さん? あれはつか劇団解散公演と映画だよ。
まあ、芝居の好きな人は必読かも。小田さんの本はええよ。250円高。