2008年07月30日「わが友、恐慌」 松藤民輔著 講談社 1470円

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」

 夏休み突入の方も少なくないと思いますが、道路、空いてますねえ。
 お盆の帰省ラッシュも電車や飛行機が主役で、マイカー派は少ないんじゃないかなあ。どのくらいガソリンかかるかわからないもんね。

 原油価格の高騰化は一息つきそうですな(とはいっても、リッター170円台はちときついけど)。この2週間でバレルあたり24ドルの下げ幅。米国議会の国際商品投資を制限する法案審議を横目で見ての動きです。
 投資のスポンサーは年金基金でしょう。世界最大の年金基金カルパース(カリフォルニア州公務員年金基金)は運用資産の8%(170億ドル)の資金を資源・商品に投資してましたもんねえ。

 ヘッジファンドも相変わらず投資してるんでしょうけど、「強制解約」される前に調整しておこうというわけでしょうな。

 原油高の裏にはもちろん、ドル不信、株式・債券不信があるのは当然です。さらにいえば、米国不信ね。

 サブプライム問題はとうにプライム問題へと飛び火するわ、ローンの延滞率は右肩上がりで上昇するわ。この傾向はしばし続きそうですな。

 まぁ、これだけ住宅価格が下がると、ローンを支払うモチベーションも下がりますわな。住宅が上がると期待してるから高いローンでも払わなしぁあないやんけ、という気分になるのであって、「これ以上は払うだけ損や」となったら、延滞ちゅうより支払い中止にすんのは当たり前でんがな。
 延滞ちゃうねん、もう止めやねん。終わりやねん。

 アメリカの住宅ローンは「ノンリコース・ローン」やさかい、払いたくなくなったら「代物弁済させてもらいまっさ」でチャラやねん。

 けど、金融機関も担保引き取ってもねえ。ローンで儲けるのが本業なんやからねえ。証券化ビジネスなんぞに手を出した罰なんやろな。

 バーナンキの前任アラン・グリーンスパン議長も、ITバブル崩壊から住宅バブルへリレーさせたところまではシナリオ通りでしたな。
 けど、「証券化ビジネス」がこうも巨大になるとはさすがに想像もしてませんでしたな。まるで、自分が作った怪物に殺されるフランケンシュタイン博士みたいなもんですな。

 こりゃ、アメリカさんも、日本のように公的資金、まぁ税金のことでっけど、はよう投入せんとあかんな。早ければ早いほどええねんけど、大統領選ちゅうタイミングの悪さや。つくづくアメリカさんはついてませんな。

 何度も言いますけど、日本にとってはマケインはんがベスト。ほかはだれがなろうと五十歩百歩や。けど、世界はもうオバマはんが大統領に就任したような勢いですな。
 実力は未知やけど、「変化」だけはありそうやないの。時代閉塞の現状を考えると、ベストは「変化」ですかな。「ブッシュのようなもの」はすべてアウト・・・ということなんでしょうな。

 さて、オバマはん。世界的な人気の盛り上がりを見せた後、華麗にヒラリーはんを切ったらたいしたもんなんやけどな。それがでけるかどうかが第一関門やな。注目してるで。

 アメリカ人は保守的やからね、私ゃマケインはんの巻き返しを期待してまんねん。どやろ? 勝てんとちゃうか?

 まっ、いずれにしてもや、この大変化の時代、この15年間、事業と投資の世界でぶれない著者の生き方、考え方は大いに参考になると思うな。どやろ? 

第1章 僕たちが生きる世界
第2章 バベルの塔とマーク・アリムラ
第3章 ブラックマンデーと天才エリック・スプロット
第4章 悲劇と革命
第5章 紀伊國屋文左衛門とタミーの賭け
第6章 凡人と天才
第7章 日本の錬金術
第8章 都市鉱山とリサイクルジャパン
エピローグ 常識では考えられない物語

 いままでの本では味わえない内容がぎっしり。機内でちょこまか執筆したのではないか・・・と思える楽しい内容。400円高。