2009年03月12日「経営理念を売りなさい」 佐久間舜二著 講談社 1680円
松下幸之助さんから直々に経営の薫陶を受けた「最後の人」でしょうな。
「薫陶を受けた人」は山ほどいるんですが、実は評判のいい人も悪い人もいるんです。ある意味、そこが松下さんの懐の深さを物語ってますけどね。
この人は評判がよかったなあ。パナソニック内部でも評判のいい人でした。本来は社長になってもおかしくなかったですね。けど、バブル崩壊後、グループ内の金融関連会社の不祥事発生。その責任をとった形で辞めたんでしょうな。
私、大昔、いまから20年以上前に合ったことがるんです。といってもひと言話しただけ。
本田宗一郎さんが贔屓にしてた整体の名人がいたんです。その人、本田さんの財団で一室を借りて治療してたのね。紹介客しか受け付けない。で、私の次が佐久間さんだったというわけ。向こうは知らないけど、こちらは「あっ」とわかりますからね。腰の低い人。
パナソニックではおもに営業畑を歩み、退社後は、債務超過に陥ってたWOWWOWを立て直し、その後、上場させましたよね。そのあたりのことがジャーナリストの立石泰則さんの「聞き下ろし」でうまくまとめられています。
佐久間さんは幸之助と山下俊彦社長の2人が経営の師匠なわけ。
山下さんといえば、工業高校卒で下から2番目の取締役。24人飛び越して社長に就任したことで「山下跳び」と呼ばれた人ですね。直言居士でもあり、松下幸之助さんの孫の社長就任にも大反対。おかげで、松下は三洋電機の愚を冒さないで済んだのかもしれません。
さて、この2人のエピソード。ご自身の仕事観、経営観、人生観がたっぷり。これは本文を読んでくださいね。さすがに経営のど真ん中にいただけのことはありますよ。
「ミスター基本方針」ともいうべき高橋荒太郎さんから懇々と諭され、しかし、それがわかったのが定年間際だったとか。なんとまあ正直に吐露していることか。ビジネスマンにとって、成功の法則よりも失敗談のほうがはるかに勉強になりますな。
おもしろかったのは、新入社員の時の感想。
「なんて説教の多い会社なんや!」
「上の人はなにかというと松下幸之助の言葉を持ち出す」
「古いしきたりや言葉にどうしてこんなにこだわるんだろう?」
この気持ち、よくわかります。私も同感です。
けど、それに対して仕事をするうちに氷塊していくんです。ただし、いまでも伝統的に残る綱領・信条・遵奉すべき7精神とかの表現はもっと新しくしたほうがいいのでは、という意見は変わりませんけどね。
古い会社、伝統的な会社、関西文化の会社。となると、昔の猛烈社員のようなイメージがあります。その通りです。こんな文化の中で、どうして山下俊彦さんのような人材が出てきたか、ああいうタイプがトップに抜擢されたのか。佐久間さんはいまだに不思がってます。
山下さんは5時には帰る。残業しない。着眼大局、熟慮断行
言語明瞭・意味明瞭。ズバズバものをいう人。そこが東京の財界にもファンを作り、また、幸之助さんに注目されたんでしょうな。
パナソニックのみならず、企業というか組織の中で、一言で「リーダー」といっても2通りあるように思えるんです。
1つは、いわれたことを忠実にこなす人。私はこういうタイプを「宿題・復習型リーダー」と呼んでます。
こんなタイプはたくさんいますよ。幸之助さんから薫陶を受けた人といっても、ほとんどはこのタイプじゃないかな。幸之助さんから指示を受け忠実にこなす人です。山下さんは違いましたな。彼はもう1つのタイプでした。
もう1つのタイプとは、「予習型リーダー」です。自らグランドデザインを描く。会社の方向性を読んで設計図を作る人。そこに向かって周囲を巻き込んでいく人。26人も抜いたはずですよ。
パナソニックといえば、欲も悪しくも「金太郎飴」ですからね。だれに聞いても同じ回答。反応。だからこそ、異質の人材が重要なんですけど、異質だから本流にはならない。ましてトップにはならない。普通はね。
けど、山下さんはトップに就任した。来るべき乱世を読んでの抜擢でしたね。300円高。
「薫陶を受けた人」は山ほどいるんですが、実は評判のいい人も悪い人もいるんです。ある意味、そこが松下さんの懐の深さを物語ってますけどね。
この人は評判がよかったなあ。パナソニック内部でも評判のいい人でした。本来は社長になってもおかしくなかったですね。けど、バブル崩壊後、グループ内の金融関連会社の不祥事発生。その責任をとった形で辞めたんでしょうな。
私、大昔、いまから20年以上前に合ったことがるんです。といってもひと言話しただけ。
本田宗一郎さんが贔屓にしてた整体の名人がいたんです。その人、本田さんの財団で一室を借りて治療してたのね。紹介客しか受け付けない。で、私の次が佐久間さんだったというわけ。向こうは知らないけど、こちらは「あっ」とわかりますからね。腰の低い人。
パナソニックではおもに営業畑を歩み、退社後は、債務超過に陥ってたWOWWOWを立て直し、その後、上場させましたよね。そのあたりのことがジャーナリストの立石泰則さんの「聞き下ろし」でうまくまとめられています。
佐久間さんは幸之助と山下俊彦社長の2人が経営の師匠なわけ。
山下さんといえば、工業高校卒で下から2番目の取締役。24人飛び越して社長に就任したことで「山下跳び」と呼ばれた人ですね。直言居士でもあり、松下幸之助さんの孫の社長就任にも大反対。おかげで、松下は三洋電機の愚を冒さないで済んだのかもしれません。
さて、この2人のエピソード。ご自身の仕事観、経営観、人生観がたっぷり。これは本文を読んでくださいね。さすがに経営のど真ん中にいただけのことはありますよ。
「ミスター基本方針」ともいうべき高橋荒太郎さんから懇々と諭され、しかし、それがわかったのが定年間際だったとか。なんとまあ正直に吐露していることか。ビジネスマンにとって、成功の法則よりも失敗談のほうがはるかに勉強になりますな。
おもしろかったのは、新入社員の時の感想。
「なんて説教の多い会社なんや!」
「上の人はなにかというと松下幸之助の言葉を持ち出す」
「古いしきたりや言葉にどうしてこんなにこだわるんだろう?」
この気持ち、よくわかります。私も同感です。
けど、それに対して仕事をするうちに氷塊していくんです。ただし、いまでも伝統的に残る綱領・信条・遵奉すべき7精神とかの表現はもっと新しくしたほうがいいのでは、という意見は変わりませんけどね。
古い会社、伝統的な会社、関西文化の会社。となると、昔の猛烈社員のようなイメージがあります。その通りです。こんな文化の中で、どうして山下俊彦さんのような人材が出てきたか、ああいうタイプがトップに抜擢されたのか。佐久間さんはいまだに不思がってます。
山下さんは5時には帰る。残業しない。着眼大局、熟慮断行
言語明瞭・意味明瞭。ズバズバものをいう人。そこが東京の財界にもファンを作り、また、幸之助さんに注目されたんでしょうな。
パナソニックのみならず、企業というか組織の中で、一言で「リーダー」といっても2通りあるように思えるんです。
1つは、いわれたことを忠実にこなす人。私はこういうタイプを「宿題・復習型リーダー」と呼んでます。
こんなタイプはたくさんいますよ。幸之助さんから薫陶を受けた人といっても、ほとんどはこのタイプじゃないかな。幸之助さんから指示を受け忠実にこなす人です。山下さんは違いましたな。彼はもう1つのタイプでした。
もう1つのタイプとは、「予習型リーダー」です。自らグランドデザインを描く。会社の方向性を読んで設計図を作る人。そこに向かって周囲を巻き込んでいく人。26人も抜いたはずですよ。
パナソニックといえば、欲も悪しくも「金太郎飴」ですからね。だれに聞いても同じ回答。反応。だからこそ、異質の人材が重要なんですけど、異質だから本流にはならない。ましてトップにはならない。普通はね。
けど、山下さんはトップに就任した。来るべき乱世を読んでの抜擢でしたね。300円高。