2014年01月17日プロデュース本がそこそこ好調です。。。

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」


 
 先週増刷したばかりなのにまたまた増刷。12月発刊ですでに4刷。嬉しいですなあ。自分の本の増刷より少なくとも3倍は嬉しい。責任ありますからね、やっぱ。
 それにしても、書店でバカ売れ。アマゾンではぜんぜんダメ。こういうことって、実はたくさんあるんです。で、どちらがいいか。もち書店で売れることです。ボリュームがダンチですからね。
 
 著者は東大大学院教授。飲むとネクタイを鉢巻きがわりにするのが条件反射。先端科学センターの責任者をされてたかな、たしか。畑村洋太郎さんの後継者として「失敗学」の泰斗として知られてます。

 なぜ、あの人にはミスが少ないのだろう? その理由を科学的に解き明かす1冊です。
 失敗は基本的にはケースバイケースです。失敗学では類似の失敗シナリオ群から「共通点」を見つけ出すことがポイントになりますわな。

 「この失敗はあれに似ている」「これはあの失敗に似ているから、この点を気をつけよう」と気づく能力が重要なの。「頑張れ!」「もっ真剣にやれ!」といたずらに精神高揚策をとっても、まっ、効果はありません。
 失敗は情報であり知識です。ナレッジメントを教訓化して日々の仕事に応用するうちに磨かれていくもので、突然、マスターできるようなものではありませんしね。

 大切なことは、まずは失敗を他人事と考えないこと。「自分だったらどう?」と考える習慣をつける。失敗のシミュレーションを頭の中で行うこと。

 お金で解決できる事故や失敗ならいいですけど、命に関わるとなると重大です。また、多いんですよね。命を粗末にしてるとしか思えない人が少なくありません。

 無知というか、油断というか、どうしてこんな失敗を冒してしまうのか不思議です。

 建設業界では毎年800人もの人が事故で亡くなっています。死亡事故の半数近くを占める原因は高所からの墜落です。2階3階から落ちても打ち所が悪ければ命を落としてしまう。まして高層ビルでは足を踏み外したら最後、100%命は保証できません。

 そんなことがないように、建築現場では高所作業をするときにはいつも命綱(安全帯)をしたり、セーフティ・ネットを張る。「労働安全衛生法」では2メートル以上の高所で作業をする場合、セーフティ・ネットや安全帯の着用を義務づけられています。作業の安全化は法律で決められ守らなければ罰則まであるんです。

 実態は800人という死亡事故数を見れば明らか。怪我で済んだ事故も入れたら、少なくとも10〜100倍はあるでしょうね。

 違反理由はいろいろ考えられますが、大きな原因は3つ。すなほち、1無知……法律でセーフティ・ネットや安全帯着用義務があることを知らない。2無視……法律があることは知っているけれども、作業がやりにくくなるので使わない。3過信……「私にかぎって落ちたりしない。大丈夫だ」と考えている。
 この3つの中で、無知な作業者に高層建築などさせるとは思われない。無視か過信のいずれかでしょう。「自分だけはそんなドジは踏まない」と考えているわけです。

 無知、無視、過信は「失敗の3悪人」のトラブルメーカーです。

 失敗は隠したい。だれにも知られたくない。あいつは無能だ、仕事ができないと烙印を押されてしまわれるからです。責任を追及されて降格や免職あるいは損害賠償沙汰にもなりかねませんからね。

 これだけのリスクがあれば、失敗を隠蔽したくなる気持ちもわからないではありません。大きな失敗ほど隠れたがるのはこういう理由です。

 災害では「ハインリッヒの法則」が有名ですね。これは営業でも当てはまります。
 たとえば1件の重大な取引停止の裏には、取引停止まではならないまでもそれに近いようなトラブルが29件あり、その裏には300件もの愚痴や苦情、文句等々のクレームがあるはずです。

 もし、あなたの会社や、あなたの会社の商品に対して顧客からクレームがあったら、それは1件だけでは止まりません。まだまだ多くの取引停止予備軍が潜在的に存在していると覚悟しておかなければいけないんです。

「1件の取引停止など氷山の一角だ」と見過ごしてしまうか、それとも、
「いまのうちに徹底的にチェックしておこう」と行動をとるかであなたの運命は大きく変わってきます。

 全米レストラン協会の統計によると、店舗のサービス、商品、クレンリネス(清潔さ)に不満を抱いても96%のお客はクレームを言うことはない、といいます。不満を持ったお客のわずか4%しかクレームを伝えないんです。
 年間1000件のクレームを受けるチェーン店(本社)なら、実際に不満を感じているお客は25000人もいるわけです。

 クレームをいちいち連絡するお客はよほど怒っている人です。たいていはその場で店や店員に対してクレームを言うはずですね。クレーム客は本社へのそれよりも平均して4倍は多いんです。10万人ものお客が不満を抱いていることになります。

 クレームの怖さは、クレームを示さない96%のうち91%は2度と来店しません。文句を言っても来てくれる常連がなんとありがたいことか。計算すると、、10万人×96%×91%=87360人のお客を失っていることになります。

 とにかく読んで勉強しましょう。掛け捨て保険という意味でもね。

 さて「中島孝志の 聴く!通勤快読」でご紹介する本は『ジャン・ギャバンと呼ばれた男』(鈴木明著・小学館)です。詳細はこちらからどうぞ。